kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



自己肯定力の高め方、他人肯定から始めよう

はじめに

toyokeizai.net

 

 はてなでブログを書いている借金玉さん東洋経済オンラインでも記事を書いていました。自己肯定するのに理由はいらない、むしろ理由があっての自己肯定は理由がなくなったとき危ない。例えばテストの成績が良い・スポーツが得意・営業の成績が良いなど誇れることを理由に自己肯定していると、勉強ができなくなった・体を壊した・会社を首になったなどで理由を失ったときに、自己肯定できなくなる。そういった内容です。

 

あなたが自己肯定する理由

  自己肯定力の高い人間には二種類あります。自己肯定する理由のある人間と、理由なく自己肯定する人間です。別の言い方をすれば、他人を肯定する能力の高い人と低い人の二種類あるということです。

 

  あなたの周りにいないでしょうか?声が大きく自信に満ちた振る舞いをする人。時に傲慢に思えるような態度をとることもあるような人。そう言った人は、自分があなたより優れている、例えばスポーツができる・勉強ができる・仕事ができるため、自信満々なのかもしれません。

  私たちは、小学生の頃から試験の順位や偏差値で他人と比べることに慣れています。試験の順位が上がれば親に褒められ、友達から凄いねと羨ましがられ、それで肯定された気分になります。他人が自分を肯定するから、自分も自分を肯定することを覚えます。

  今の日本は競争社会です。人は何かで他人と競っています。SNSのイイねの数、試験の点数、給料の額など他人と競わせようという仕組みが沢山あります。他人に勝っている、だから自分は優れている、だから自分を肯定する。こんな考え方に私達は慣れています。

 

本当の自己肯定

  あなたの得意なものは何ですか?料理ですか?運動ですか?他人と話をすることですか?

 その得意な理由が他人よりも上手くできるからということなら、あなたは自己肯定に理由を求めています。その理由を失うと、自己肯定できなくなる人かもしれません。

  自己肯定するのに理由がある人は危ない。それが上の記事の趣旨です。自己肯定に理由を必要とする人は、他人を肯定するにも理由を必要とします。彼や彼女は、勉強ができるから凄い、お金を持っているから凄い、SNSのフォロワーが多いからすごい、そんな風に考える人は他人を肯定するのに理由を必要としています。そういう人は、自分を肯定するのにも理由を必要とし、理由をなくした時に自分を肯定できなくなりそうです。

  

 

他人を肯定するところから始めよう

  自分を肯定するのに理由はいらない。これって、なんだか嘘っぽいと思いませんか?理由なく自己肯定することは難しい。できないことだらけで、ダメなことだらけなのに、それで自分は良い、なんて理屈に合いません。また、自分を甘やかしているようでもあります。

  そこでまず他人を肯定することから始めてはどうかと思います。理由なんかなくても、あの人はあのままで良いとまず肯定してしまう。

  これに慣れてくれば、理由がなくても自分を肯定できるようになるかもしれません。

 

思い込みに追い詰められないようにしたいね

 

toyokeizai.net

 

 はてなでブログを書いている借金玉さん東洋経済オンラインでも記事を書いていました。自己肯定するのに理由はいらない、むしろ理由があっての自己肯定は理由がなくなったとき危ない。例えばテストの成績が良い・スポーツが得意・営業の成績が良いなど誇れることを理由に自己肯定していると、勉強ができなくなった・体を壊した・会社を首になったなどで理由を失ったときに、自己肯定できなくなる。そういった内容です。

 

 記事の趣旨とは別に以下の文章が印象に残ります。

 僕の場合、まだ希死念慮が抜けていなかったこのタイミングで、人生に絶望した友人から電話がかかってきたのが大きな救いになりました。 「死にたい。自分には生きる価値がない」と言う友人に対して、僕は極めて自然に「価値がなくたって死ぬ必要はない」と主張しました。

 

 友人から「自分には生きる価値がない」と相談されたら、あなたはどう答えますか?

 私なら「そんなことはない、君には価値がある。例えばこんな良いところがある、あんな良いところがある」と励ましたと思います。

 しかしこれは「価値があるから生きて良い」あるいは「生きるには価値が必要だ」といった論理を肯定しています。

 

 思い込みを止めよう、絶対なんてものはないなどと言いますが、思い込みをやめることはとても難しい。「価値があるから生きて良い」という思い込みから抜け、「価値が無くても生きて良い」と別の考え方をできる、そういう柔軟さが大事なんだと思います。

 須藤元気さんが紹介していた4つの約束という本の中で、「思い込みをしない」を幸せに生きる指針としています。上で見たように「思い込みをしない」というのは難しい。こまめに考え方を相対化していく、つまり自分の考えに他の選択肢はないのかとチェックするしかないのでしょう。

 

四つの約束

四つの約束

 

 

たとえ話は短くがコツ

 たとえ話の分かりにくい人がいる。

 最近見て最高に分かりづらい例えは、人工知能の進化をカンブリア爆発に例えるやつ。

 

www.nikkei.com

 

 アマゾンの無人スーパー「アマゾン・ゴー」についての記事だ。「アマゾン・ゴー」では多数のカメラで客がどの商品を手に取ったか把握する。そこでの一節だ。

同社が注目する目という概念は重要かもしれない。生物の歴史上、最も重要な節目を提供したのは、実は目だったからだ。
 「カンブリア爆発」という言葉がある。今から5億年前のカンブリア紀を境に「門」など生物の属性が劇的に増えた、との説だ。実際にはそれ以前から生物は多様な生態系を持っていたことが最近わかっている。だが、カンブリア紀はやはり大きな節目だった。地表に届く太陽からの光が増え、生物が目を獲得したからだ。
 英国の生物学者、アンドリュー・パーカー氏の著書「眼の誕生」によれば、カンブリア紀に増えたのは化石だ。目を確保した生物は、目を持たない生物を捕食し始めた。捕食される生物は自分も目を持とうとする一方、食べられにくい「硬い殻」を身にまとう方向に進化し始めたという。カンブリア紀とは要するに、弱肉強食が加速した時代だったのだ。
 アマゾンの話に戻ろう。同社は目を獲得し、インターネット上だけではなく「残りの9割の経済」といわれるリアルワールドに本格的に飛び出した。同社が進める産業のdisruption(破壊)という名の捕食はこれまでより一段と広く、深く進行する可能性がある。もしかしたら後世になって「デジタル・カンブリア紀」と呼ばれるような時代がもう始まっている可能性もあるだろう。

 

 カメラが大切だと言いたいことは分かる。その例えでカンブリア爆発は、分かりづらい。何といっても、例えが長い。長く説明したところで、生物と人工知能は違うので、論理的にカメラが大切だという説明にはならない。

 ならば、短くまとめるのが上手い。

渋谷のサイゼリヤ、顔立ち見る限り東南アジア、中東、アフリカ系、北欧、ギリシア系まであらゆる人種の人がバイトしてて、ほぼ地球

 (Twitterで見かけた『例えが絶妙!』ってなる秀逸な"呟き" - NAVER まとめより)

 

 

同じ質問をされると感じたら、コミュニケーション力を学んだ方が良いわけ

 コミュニケーションのお話し。

 色々な人と話をしていて、話のネタを探すのに苦労するときがあります。プライベートな話をするほど親しい訳でもなく、芸能人のゴシップをネタにするほどくだけた関係でもなく、相手に何か特徴がある訳でも無い。そんな相手と話す時は、何をネタに話をしようかなぁって困りますよね。  

  相手と自分の共通の話題が無いとき、相手の興味・趣味・特技を探して話のネタにするのが定番のテクニックです。ハーバード大学を卒業したお笑い芸人のパックンも「ツカむ!話術」の中でそう書いています。

d.hatena.ne.jp

 

 一方逆の立場、つまり話のネタを探される立場からすると、毎回同じ質問をされることになります。下の記事は、映画好きと分かるとみんなから同じ質問をされ続けるという記事です。同じ構造の話として、TOEICで900点取ると知られると「英語喋ってよ」と言われるとか「どうやって勉強したの?」と聞かれるとかいう話もあります。

hukadume7272.hatenablog.com

 

 コミュニケーション力という立場に立てば、3つの能力が不足しているように感じます。

  1. 自分のことを話す能力の不足
  2. 自分の興味・趣味・特技のバリエーションの不足
  3. 相手の興味・趣味・特技を見抜いて話のネタにする能力の不足

 

 自分のことを話す能力、とりわけ自分の良く知っている分野の話は上手に話せると良いでしょう。

 例えば、自分が映画好きであれば(別に漫画好きとか、仮想通貨への投資好きとか、なんでもいいのですが)、映画についてスケーラブルに話せるようになりたいものです。スケーラブルというのは、

  • 映画を仕事にするプロ相手に対等に深い話ができる
  • また普通の映画好き相手と映画の話を微に入り細に入り語ることができる
  • そして映画に興味のない人に対して映画の話を面白おかしくできる

 

 コミュニケーションにおいて、相手の興味・趣味・特技を話のネタにするのは定番ですが、いつも映画の話というのも寂しいものです。相手が話のネタにできる範囲の広い厚みのある人であると良いでしょう。

 要するに興味範囲が広いということです。やったことのないことを初めてだからやってみるという好奇心があり、色々深めていく容量の良さを持ちたいものです。

 

 またコミュニケーションにおいて相手から質問されているとき、それは負けです。話し上手は聞き上手といいますが、相手から質問されているとき会話の主導権は相手が握っています。(そして、もし相手の質問に面白おかしく答えることができていないとしたら、大敗北です。)相手が楽しく話せるネタを振ってあげられると、話し上手と呼ばれることになるでしょう。

「社会調査」のウソ(谷岡一郎):ネットのウソ情報に気づく力をつける本

gendai.ismedia.jp

 

  『平均年収186万円、日本に現れた新たな「下層階級」』、こんな見出しを見ると記事の中身を読みたくなりますよね。「平均年収186万円」という数字が書いてあるため、本当らしく見えるのです。

  でも中を見ると、この記事には平均年収をどうやって計算したのか書いてありません。

  ただの煽りでしょうね。

 

  このように、もっともらしい数字を使ってウソをつく人はたくさんいます。こういうのに引っかかっるのは、悔しい。自分の主張に合うようにワザと間違った数字を使うのは悪意です。タチが悪いのは、悪意のある記事がネットで拡散されていくことで、悪意が拡散されていきます。上の記事にはたくさんのブックマークがついており、記事に完全にノセられているものもあります。

格差なんて生易しいものでなく、階級の出現

 

  次に別の例です。日本新聞協会が2017年に主催したコンテストで入賞したポスター「動物愛護先進国に生まれ変わろう。」をみて下さい。

動物愛護先進国に生まれ変わろう

動物愛護先進国に生まれ変わろう

 

 日本ってひどい国だ、って思いますよね?

 これも統計のウソです。野良犬を街でみつけると、日本は捕まえて施設に連れて行き殺処分しますが、ドイツは野良犬を街で(施設に連れて行かずに)駆除することが認められています。

 つまり、統計の取り方が違うのです。 

 これも、ポスターの主張に合わせて都合の良い統計を持ってきた例です。

 

 

 このように、統計でウソをつく記事がネットだけでなくマスコミ・政治に溢れています。こういったウソがどんな感じでつかれるかを幅広く紹介している本が『「社会調査のウソーリサーチ・リテラシーのすすめ』(文春新書)

 著者は、喧嘩上等で、多くの社会調査を実名で批判しており、なかなか過激な内容です。

 この本は少々過激な内容である。多くの社会調査が実名で批判されており、その数は50以上に上る。ちなみに実名で批判した人々には、反論があればお答えすることを約束する。

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)

 

 

まとめ

 ネット記事を見ていると、人気を集めるために数字を使うものがあります。ただ、この数字にウソのあるものは結構多い。こういったウソに引っかかるのは悔しいよね。

 どういったウソのつきかたがあるか、 『「社会調査のウソーリサーチ・リテラシーのすすめ』(文春新書)に書いてあり、ネットの情報との賢い付き合い方が分かります。わざ騙されたふりをするのもよし、やんわり指摘してあげるのも良しです。

 あなたもウソを見破りましょう。

あなたの話はなぜ「通じない」のか(山田ズーニー):あなたを相手に伝えたい、そんなコミュニケーションの本

あなたの話はなぜ「通じない」のか (ちくま文庫)

あなたの話はなぜ「通じない」のか (ちくま文庫)

 

 

 「何を言うか」よりも「だれが言うか」が雄弁な時がある。例えば、同じニュースでも、どのメディアが言うかで、ぐっと印象は変わる。

    ついに宇宙人とコンタクト(日本経済新聞

    ついに宇宙人とコンタクト(東京スポーツ

 いかがだろうか?二つは同じことを言っている。でも違う意味に見えてしまう。

 

 こんな書き出しから始まる本書は、コミュニケーション術の教科書です。

 コミュニケーション術の内容を教えるものとしてよくまとまっており、基礎5つに分けて説明しています。そして、それらは「ついに宇宙人とコンタクト」と同じように分かりやすい例が豊富です。

  1. 自分のメディア力を上げる
  2. 相手にとっての意味を考える
  3. 自分が一番言いたいことをはっきりさせる
  4. 意見の理由を説明する
  5. 自分の根っこの想いにウソをつかない

 

この5つでコミュニケーション術は網羅されています。本書以外の本でもこれらが全てです。

kota.hatenablog.com

 

この本が、他とは違う点は2つ。

  • コミュニケーションの目的を、「人と通じ合う」こととしている
  • 問いを重視している。

 

コミュニケーションの目的は?

 そもそもコミュニケーションの目的は何でしょう?

 「人を動かす」ことを目的とする本が多いように思います。自分の意見を通すために言葉を選び相手を誘導する。そのために、相手の関心を見抜きそれに向かてエサをまくテクニックが書かれている本もあります。 

人を操る禁断の文章術

人を操る禁断の文章術

 

 

 本書では、「他人と通じ合う」ことをコミュニケーションの目的としています。

 本書を踏み台に、人と通じ合う技術を磨こうとするあなたに、まずたずねたい。

 技術をつけて、どうなりたいか?人や社会とどうつながっていきたいか?

 あるう人は「交渉で常に自分が勝てるようになりたい」というかもしれない。またある人は「人間関係で傷つかないようになりたい」と言うかもしれない。あなたの目指すコミュニケーションのゴールは何だろう?

(中略)

 自分の想いで人と通じ合う、それが私のコミュニケーションのゴールだ。

 

 私自身は、「人を動かす」「人と通じ合う」そのどちらもケースバイケースで使い分けたいと思ってます。「人と通じ合う」だけでは世の中やっていけない。でも、「人と通じ合えない生活はあまりにも寂しい。

 

問いの力

 「自分の想いで人と通じ合う」ことを目標とするなら、まず「自分の想い」つまり自分の考え、じぶんだけの考えをはっきりさせなければいけません。

 意外かもしれませんが、人は感じたことをはっきり言葉にできるまで考えていません。感じただけでなんとなくやり過ごしていることが多い。つい一般論というふわふわした状態で思考を止めてしまう。

 増税のニュースを聞くと、それは生活が苦しくなって政府はいけないと思い、社会保障削減のニュースを聞くと、お年寄りが可愛そうと思う。誰もそれに反対はしないが、そこにあなたの考えはない。増税はいくらまで許せて、社会福祉削減はいくらまで許せるのか、具体的に自分なりの数字を持つのが、自分の考えを持つということだ。

 

(1)問いの力 その1:考える技術として

 考えることは、良い問いをみつけることです。

 問題が与えられたら、私たちはすぐ、「答え」を探そうとする。暗記と応用で正解を出すことに慣れているからだ。でも、正解のない問題を自分で考えいたいなら、まず「問い」を探すことだ。

 正解のない問題、学校を卒業するとほとんどが正解のない問題です。就職する会社は、ベンチャーが良いか、大企業が良いか。家は、持ち家がいいか、借家がいいか。正解はありません。

 まず問いありきです。

 自分は何を目指すのか?選択肢は何と何があるのか?それぞれを比較する基準は何か?いつまでにしたいのか? すべて問いをきっかけに考えることができます。

 問いを使って考える技術については、『「言葉にできる」は武器になる』(梅田悟司)も同じことを言っています。問いを繰り返して、自分だけの考えを明確にするとよいでしょう。

kota2009.hatenablog.com

 

(2)問いの力 その2:相手の話を問いで聞く

 相手と話をしていて話がかみ合わないとき、原因は論点のズレです。

 恋人が「今度の出張はどこ行くの?」と聞かれたとき

   あなた「アメリカ」

   恋人「遠いね」

   あなた「アメリカだからね」

こんな会話になったとしたら、論点がズレているかもしれません。恋人は

場所を聞いているのではなく、本当はあなたがいつ帰ってくるのか知りたいのだとしたら、上の会話は噛み合っていません。

 

 誰かと話をするとき、「なぜ相手はこう言うのか?」と問いの力を使うと、論点を外さない。相手の言葉がそのまま言いたいことではないことは多々あります。「なぜこう言うのか?」この問いは武器になる。

 

(3)問いの力 その3:相手との論点を共有する

 誰かと話をするとき、意見が合わないときがあります。そんな時でも、問いなら共有できます。

 仕事がうまくいかないとき、「客がわがままだ」、「商品が悪い」様々なことを部内で議論するかもしれない。このとき上司から「商品が悪くても仕方ないだろう、頑張って売れ」と言われると議論はすれ違う。

 「どうやったら売れるのか?」「この商品を買ってくれる客はどんなカスタマセグメントなのか?」と問いにすれば、相手と共有できる。共有できればそれをキッカケに噛み合った議論ができます。

 

まとめ

 「あなたの話はなぜ通じないか」(山田ズーニー)は、コミュニケーション術の教科書です。

 類似本が、コミュニケーションの目的を「人を動かす」ことに置くのに対して、本書は「人と通じ合う」ことを目的に置いています。

 「人と通じ合う」ためには、まず自分だけの考えをはっきりさせる必要があり、そのために問いの力を説明しています。問いには、(1)自分の考えをはっきりさせ、(2)相手の話を正しく聞き、(3)相手との論点を共有する、効果がある。

 

おまけ

 この本では問いの力が強調されています。

 一方でよい問いを立てるのは、いきなりは難しい。そこで良い問いを立てるトレーニング方法も記されています。その中で私が気に入ったのは、「問い発見力を鍛えるーー問いスクラップ」という方法です。

 ネットニュースや新聞を読んて面白い記事を見つけたとき、その記事がどんな問いに基づいて書かれたか考えるというものです。

  1. 面白いと思う記事を見つける
  2. その面白い考えは、どういう「問い」から出てきたのか、文中に書いてあればそれをみつける
  3. 文中に「問い」が書かれていなければ「意見」から逆算して問いを割り出す

簡単な例を引用します。

例えば、「本当のことをしゃべるよりも、私はウソをつく方が恥ずかしい。ウソをついてる方が、本当の自分が出るから」(米原万里「言葉の戦争と平和」より要旨抜粋)という意見に目が留まったとしたら、その裏に、「ウソは本心を隠すものと思われているが、本当か?」「本当とウソ、どちらを言うときが、より本当の自分が出るか?」という筆者の問題意識が読み取れる。

 

これは、簡単にできて良い方です。やってみてはどうでしょう? 

「問題解決大全」(読書猿):問題解決の手法集としてでなく、それらを分析した知見を楽しみたい

問題解決大全

問題解決大全

 

 

 

  学校を卒業すると、どうしても上手く行かないことに出くわします。

   職場で売り上げがなかなか思い通りに上がらない。どうしたら、お客は私たちから購入するのだろう?悩んでもなかなか答えはでないですよね。

  

  あなたが今一番困っている問題は何ですか?

 

  問題を解決する方法が見つからない。そんなときに役立つのが問題解決のノウハウです。ギリシャ時代の大昔から、人間は問題を解決しようと様々なノウハウを開発してきました。そんなノウハウを一冊にまとめたのが、この「問題解決大全」です。

  ただし、この本は、様々なノウハウを一冊にまとめたノウハウ集以上のものです。より高い視点でそれらを分析している。

  • そもそも、なぜ問題解決は難しいのか?
  • それぞれの問題解決手法は、どういった考えに基づいて作られているか?
  • 問題を作り出す人間の心理は何か?

 

  これらの分析は、単なるノウハウ集以上の価値がある。

  例えば、歴史を学ぶ時、724年に平安京遷都、1192年鎌倉幕府設立、1338年室町幕府設立。このように一つ一つの事実を集めて記憶しても、そこから学ぶことは少ない。

  しかし、もっと上位の視点で分析すると、役に立つ知見が得られる。平安京の支配者は皇族(つまり天皇)であった。なぜ、皇族が権力を持っていたのか?それは、科学がまだ発達していなかった時代は、天変地異を恐れ、神と会話できる特殊な能力をもった(をもっていると信じられていた)皇族を、民衆が敬っていたためです。皇族に逆らうと雨が降らず作物が育たず飢えがやってくることを、民衆は恐れていました。

  段々と農業の技術が進むと、天変地異を恐れることは減り、武士の武力を人々が恐れるようになり、武士が権力を握る鎌倉幕府へとつながっていきます。

 

  問題解決手法も、多数の手法を集めそれらを分析することで、より有用な知見を得ることができます。

 

  普通、問題があるとき人はその原因を探ろうとします。この手法として、トヨタのなぜナゼ分析が有名です。しかし、この思考は3つの意味でリスクがあります。

  • 真因が見つかったとして、それを取り除いたり・変えることができない場合がある。
  • 真因が無い場合がある
  • 問題を解いてみないと、見つけた真因が正しいかどうか分からない。

 

  仕事で成果が上がらない。売り上げが伸びない。その理由を探って行くと、扱っている商品の悪さが原因だった。あなたはそれを変えられないなら、いくら悩んでも無駄です。このように、問題の真因が変えられないものである場合が結構あります。ナゼナゼ分析では、このように変えられないものを変えようとしてただ消耗することになります。

   また、問題の原因と結果が循環している時があります。ソフトウエア開発では、仕事の納期が遅れそうになると、残業が多くなり、残業によってエンジニアが疲労します。エンジニアが疲労することで作業効率が下がり、一層遅れがひどくなり、ますます残業が増えます。そして、エンジニアが疲労して行く。このように、循環した問題に真因はありません。そもそも大抵の問題は循環しており、ナゼナゼ分析で真因をみつけられる方が少ないかもしれません。

  さらに、例え真因を見つけても、それが本当の原因なのか、その原因を取り除くことができるのかは、予め分かりません。試してみないとわからないのです。客先へのプレゼンが失敗続きで、客が斬新で突飛なアイデアを求めているのに、平凡なアイデアを自分がプレゼンしている。問題解決には突飛なアイデアを客に話すことが必要だ。そこが分かっていても、本当に自分のアイデアを話すと、突飛すぎて客が起こり出だすのではないかと尻込みしますよね。このように、真因をみつけてもそれに自信が持てないため、思い切って取り組むことは難しいものです。

 

  本書には、問題解決のノウハウが羅列しているだけでなく、それらを俯瞰して分析しており、ここに本書の価値がある。

 

おまけ

  このエントリでは、問題解決のノウハウについて具体的には書かないようにしてきました。しかし、面白かったものを二つ紹介しておきます。

 

PDPC(Process Decision Program Chart:過程決定計画図)

  問題解決案を実行するための計画を念入りに立てるのではなく、ほどほどのところで完成させて、実行に移る。新しい情報や状況の変化がある度に素早く計画を詳細化・修正していく。

  これは、問題解決の初期には情報が不足しているだろうし、問題の構造もよく分かっていないという、現実的な割り切りの思想が根底にある。世の中のノウハウ本が緻密な計画を立てることを推奨するのと真逆を言っていて面白い。

 

フロイドの解き直し

 問題は解決することと同じくらい、解決した問題を解きなおすことが大切です。これによって解決スキルを上げることができる。

 

 

著者のもう一冊の本「アイデア大全」も読みごたえがあります。

アイデア大全

アイデア大全