kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



ノウハウに注意

 カッコいい言葉を使うと、思考が止まる。
 「リーダーシップが大切」、「良くコミュニケーションするように」等々。なんだか良さそうな雰囲気に、思考が止まる。いわゆる思考停止だ。
 「ノウハウ」という言葉も思考停止を誘う。「ノウハウがありますから」、「我々のノウハウにより」、「ノウハウを蓄積」など。ノウハウがあるってどういうことなんだろう?ノウハウって蓄積できるものなんだろうか?
 どうも「ノウハウ」という言葉は、多重の意味に使われる言い訳に便利な言葉のようだ。
 一つ目は、公知 vs 秘密 という構図で、秘密の情報という意味で「ノウハウ」があるなどと言うときがある。例えば、「これは、特許として出願するのではなく、”ノウハウ”として秘匿しておきましょう」という場合、これは”秘密”にしておきましょう位の意味だ。
 二つ目は、形式知 vs 暗黙知という構図で、暗黙知という意味で「ノウハウ」があるなどというときがある。例えば、酒造りの職人が、毎日気温や湿度が微妙に変わるのでそれに合わせて加熱時間を微妙に変えていますといった、”職人の腕”と同じ意味だ。プログラマの腕と言っても良い。
 三つ目は、すごい vs すごくないという構図で、すごくない情報を「ノウハウ」と言ったりする。研究者・技術者が、プログラム書きや標準化会合に出るような仕事をしたいと言ってきたときに、それをやる理由としてよく言ってくるのが、「ノウハウを蓄積するため」という言葉だ。
 三つ目は、限りなく言い訳に近いと思う。
 「ノウハウを溜めます」なんてカッコいい言葉を使って言い訳していると、ろくな大人にならない。ただの思考停止だから。