kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



経済的正しさと政治的正しさのせめぎ合い

トランプ米大統領の登場以降、保護貿易を巡る議論が活発化しています。経済学的観点からすれば、保護貿易は全く許容できないものなのかもしれません。しかし政治理論の見方では、保護貿易は必ずしも悪いものとは限りません。

(中略)

 経済学的見方ではリカードの比較生産費説に立ち、各国は比較優位な製品に生産を特化し、互いに生産物を貿易した方が効率的なため、自由貿易が望ましいとされます。これは机上の経済理論としては正しいとしても、現実世界では望ましくありません。各国の産業構造が少数の産業に偏ったいびつなものになってしまうからです。人々の人生の実質的選択肢が非常に狭くなり、選択の自由が奪われてしまいます。

日経新聞 2017/6/20】(やさしい経済学)グローバル化ナショナリズム(6) 保護貿易、政治理論では正当化も

 

 貿易のグローバル化・自由化は、経済的に正しくても政治的には正しくない、とい話です。

 

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 日本とEUが関税撤廃で大枠合意しました。ヨーロッパの美味いチーズ・ワインが日本で安く買えるようになります。また、日本の車をヨーロッパで安く売ることができます。各国はその国が得意なもの(ヨーロッパはチーズ・ワイン、日本は車)を作ってお互いに交換することが経済効率が良い、これがリカードの比較生産費説です。

 こうなると、日本からチーズ・ワインの生産者がいなくなり、ヨーロッパからは自動車の生産者がいなくなる可能性があります。そして、日本でチーズやワインづくりをする職業に就くという選択肢が無くなります。

 このように職業選択の幅がなくなることは国民の自由を奪うため、政治的には正しくない。

 

 関税の問題とは、経済的な正しさと政治的な正しさのせめぎあいなんですね。