シェアリングサービスでお金を稼ぐのは結構しんどいというお話です。
シェアリングサービスとは
シェアリングサービスを一言で言うと、個人が持っている空きリソース(車、駐車場、時間など)を他人に貸してお金をもらう仕事です。Uber, Airbnbなどが代表的なものです。
これまでの学生の家庭教師やベビーシッターもシェアリングサービスと言えますから、シェアリングサービスが全く新しいわけではありません。では、何が違うのかというと、インターネットとスマートフォンの普及によって、貸し手(働きたい人)と借り手(働かせたい人)のマッチング(例えば、勉強を教えたい人と教わりたい人のマッチング)が、簡単にできるようになった点です。
貸し手と借り手のマッチングが簡単になることで、仕事の種類が増え、また時間的にも短い仕事を扱うことができるようになります。例えば、今日の晩御飯作って欲しいという小さい仕事にも、それを働きたい人を見つけることができます。
超短期アルバイト
”シェア“という美しい言葉に騙されず冷静に考えると、シェアリングサービスは、超短期の細かいアルバイト募集であることが分かります。アルバイト情報のマイナビバイトに30分とか1時間の仕事が掲載されているようなものです。働きたい人と働かせたい人がいて、アルバイトのマッチングが行われているのです。
シェアリングサービスは儲かるか?
シェアリングサービスの先駆けUberで働く人が怒っています。車のドライバーとして働いても、収入が低すぎるためです。
批判的な向きからすると、労働力のコントロールの仕方において恐らく最悪の反則者はウーバーだ。ウーバーは、自社のドライバーが受諾しなければならない価格を設定し、2つのやり方でドライバーを一方的に搾取する慣行を広げてきた。
(“ウーバーと「共有型経済」と低賃金”(The Wall Street Journal)より)
上の図を見ると、シェアリングサービスで働いても儲からない理由が分かります。働きたい人が、たくさんいるからです。働きたい人がたくさんいれば、価格が低くても仕事を受ける人が出てきます。そのため、価格が下がっていくのです。
勝ち組と負け組
シェアリングサービスでも儲ける人はいます。能力の優れた人です。ライターであれば人気のある記事を書ける人、英語の翻訳者であれば専門的な文章の翻訳ができる人などスキルの高い人です。
マッチングサービスでは、働きたい人を評価します。食べログでレストランの評価が星でされるのと同じです。能力のある人は高い評価を得て、単価の高い仕事を得ることができます。
評価の高い人は、単価の仕事を得ることができるだけでなく、孫請けを使って働かせるようになるでしょう。単価の仕事を受けてもその仕事を自分で行うのではなく、再度マッチングサービスを使ってもっと低い単価で働く人を探すのです。そうすることで、能力の高い人は自分では働かずにサヤをとって稼ぐのです。名義貸しで儲けるのと同じです。
このように高い単価で仕事を得る人とそうでない人の勝ち組・負け組がはっきり分かれていくでしょう。
まとめ
シェアリングサービスと言っても、ネットを使って細かい仕事を請け負うネットワーカーは、儲かりません。普通の能力の人は安い単価で仕事をし、能力の高い人が単価の高い仕事を請け負うことになるでしょう。さらに、能力の高い人は孫請けに働かせることでますます儲けるでしょう。その分、普通の人は儲からなくなります。
お小遣い稼ぎでやるのは良いけど、本業としてシェアリングサービスをするのは、やめておいた方が良さそうです。
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