「人を動かす」という言葉がある。これは正確では無い。そもそも言葉で「人を動かす」ことはできない、「人が動く」のだ。そのためには、相手の気持ちを変え、考えを変え、行動を変える必要がある。
本書は、そのためのノウハウ本である。相手のどんな気持ちを狙って文章を書くべきか、キーフレーズを文章中のどこに書くべきかを教えている。
重要なポイントをまとめます。
相手の頭の中を想像する
「僕は、頭も良く無いし、運動もできないけど、君が好きだ付き合って欲しい」こんなこと言われたらどう感じるでしょう? レストランで「不味いし、高いけど、食べる?」って聞かれたようにあいては感じます。それなのにこう言ってしまうのは、自分のことしか考えておらず、相手の考え・気持ちを想像できていないからです。
誰かをデートに誘いたい時、「デートしませんか?」と誘ってはいけません。相手の好みを想像して、もしダイエットに関心があるようなら「低カロリーなのにすごく美味しいイタリア料理店をみつけたんだけど、いかない?」と誘うのが正解です。
相手の感情の狙い所
「人が動く」ために、相手の感情を変えなければいけません。そのため狙うべき感情が7つあります。(1)興味、(2)悩み、(3)損得、(4)認められたい、(5)あなただけ、(6)みんなやっている、(7)本音と建て前
上のダイエットの例は、(1)の興味を狙ったものです。よく見かける広告「いままで痩せられなかった人もみるみる痩せる」というのは(2)の悩みを狙ったものです。「知らないと損する食べて痩せるダイエット」というのは(3)の損得を狙ったものとなります。「モテモテになれる愛されボディを作ろう」というのは(4)の認められたいです。「あなただけに教えるマル秘ダイエット」は(5)のあなただけ、「まだやってないの?みんなやっているこのダイエット」は(6)のみんなやっている、「いつも頑張っているあなた、たまにあげたい自分へのご褒美」というのは(7)の本音と建前。
この中で(7)の本音と建て前が、一番大切。というのも、残りのものは他の類似本でも紹介されています。この(7)を紹介している点がさすがです。
人間誰しも、本音と建前を使い分けています。そのためこれため幅広く使えます。コツは、相手の本音を認めてあげつつ、そうは言っても建て前を刺激することです。そもそもやりたいこと(本音)があり、それをやらない理由(建て前)がある状態って多いものです。遊びに行きたいのにアルバイトで行けない相手に、「アルバイト先ででは頼られる存在だね、すごいね」と建て前を認め、「頑張りすぎるとパンクしちゃうよ、たまには遊びに行ったら?」と建て前を刺激する。別の見方をすると、褒める+提案の形になっており、とても強力な手法です。
文章の書き方
ここも本書独自のノウハウが書かれていました。簡単にまとめると
- まず、相手にして欲しいことを、追伸として書く。例えば、「追伸、新しいイタリア料理店をみつけたので、今度行きませんか?」
- 相手の感情を狙った文章を本文として書く。例えば、「美味しいものをよくご存知ですよね」など
- 文章の出だしの文章を、“明るく”書く。
これだけです。相手にやって欲しいことを追伸に書くのがポイントです。
文章というのは文末しか頭に残らないものです。そこで、追伸を最後につけるのです。
まとめ
メンタリストとしてテレビで人を操ったDAIGOが、その人を操る術を記したのが本書です。
人が自ら動くように、相手の感情を刺激するのがコツ。その狙い所となるポイントが記されている。さすがメンタリストだけあって、本音と建前を狙う、追伸を使うなど独自のノウハウが公開されています。
補足
ハーバード大学卒の芸人パックンの話術の本では、相手を動かすためのコツを、エトス・パトス・ロゴスの3つの視点で解説している。このDAIGOの本は、パトス(つまり感情)について深く掘り下げている。