kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



イノベーションはこうやって潰す、ふるさと納税を巡る風潮より

 ふるさと納税の返礼品が豪華で不平等だと不平を言う人がいる。なんだか、島国根性とはこういうことかと思う。イノベーションを潰すのはいつもこういう島国根性な人々だ。 

電化製品に旅行券……。ふるさと納税の豪華な返礼品に、国が待ったをかけた。「地方の活性化」や「寄付文化の定着」といった制度本来の趣旨をいかすには、どう改革すればいいのか。

(耕論)ふるさと納税を問う 末安伸之さん、田中良さん、森信茂樹さん:朝日新聞デジタル

 

地方分権の残酷さに耐えられない人々

 政府は地方分権を推進している。つまり、地方のことは地方自治体の裁量に任せて行こうという方針だ。霞が関の中央官庁が地方のことを考えるよりも、地元に密着した地方自治体の方が現場のことをよくわかっており、うまく税金を使えるという考え方だ。

 地方の役所や政治家の能力は様々だ。有能な公務員の揃った自治体もあれば、安定しているからといってのほほんとして毎日同じことを繰り返すことを良しとする職員の自治体もある。民間企業でも、ある会社は儲かっていて、別の会社は儲かっていないことは普通にある。生産効率が会社によって違うように、地方自治体の生産効率も自治体によって違う。生産効率の低い自治体は税金を使う割に行政サービスの質が悪い。自治体ごとに組織能力に優劣があるのだから仕方ない。

 ふるさと納税という仕組みができても、その仕組みを上手に使いこなせずにいる自治体がある。一方で、多くのふるさと納税を集める自治体もある。この違いは自治体の才覚の違いだ。ルールに反していない以上ずるいというのは、儲かっている人や会社をやっかんでいるのと同じだ。

 それでなくても地方自治体は、国からの地方交付金というお小遣いが入ってくるため、生産性を高めるというモチベーションに欠ける。国からのお小遣いがもらえるなら、ガツガツ努力をするよりも事なかれ主義で何もしない地方が多いのは当然だ。

 イノベーションを起こす組織というのは、ガツガツしている。目的があり、そのために知恵を絞る。GoogleYoutubeを始めたときに違法コンテンツの削除を義務付けようとTV局などの著作権者がGoogleを攻撃した。それに対してGoogleは違法コンテンツを削除するのではなく、Youtubeに広告を出しその広告料を著作権者に渡すことで著作権者を黙らせた。こうしてYoutubeは大きくなりGoogleイノベーションを起こした。

 地方分権とは、地方自治体の才覚で地方行政を行うことだ。当然、地方自治体の能力や才覚が行政サービスに現れる。それは不公平ではなく、ダメな組織は衰退するというルールが地方行政にも適用されるというだけのことだ。

 イノベーションを起こす可能性のある自治体を、不公平だといって不平を言うのはイノベーションを潰す。島国根性というのはそういうものだけど。

 

重箱の隅をつつく人々

 平成29年度のふるさと納税額は3,653億円。ここ3年ほどで急増している。

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総務省発表(ふるさと納税に関する現況調査結果)について | ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス]

 

 たかだか4千億円弱のことで騒いでいるのが残念だ。

 地方税の総額は40兆円弱。ふるさと納税は、このたった1%にしかならない。しかも地方交付税として別口で国から金が地方に入っている。

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総務省|平成30年版 地方財政白書|第1部 3 地方財源の状況

 

 1%の金が、ある自治体には多くて別の自治体には少ない、こんな議論って重箱の隅をつつくというものだ。色々工夫して頑張っている自治体とそうでない自治体で総額1%の取り合いをして多い少ない言うのって残念だ。こういう議論が好きな人は、飲み会の代金の割り勘を1円単位で気にする人に違いない。

 

まとめ

 ふるさと納税の返戻品の多い少ないに文句を言うのは、地方自治体の創意工夫を潰す島国根性の発想だ。ふるさと納税の額なんて地方自治体に入る税額から言えば1%程度こと。目くじら立てなくてもいい。それよりも、自治体が工夫してイノベーションを起こそうとしている姿勢を応援したい。イノベーターを応援できる人とそうでない人がいる。あなたはどっち?