kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



女性の社会進出は高いのと低いので、どっちが良いのか?

 男女共同参画についての話を聞いた。要するに女子も正社員となって働きましょう。キャリアップ、つまり昇進を目指しましょう(女性の社会進出促進)、という話だ。

 これはずいぶん議論を呼ぶ話題だと思った。正義の思い込みをさせる話題だから。

 

 話の内容はこうだ。

  • なぜ女性の社会進出が必要なのか?
    日本は人口が減っていてこのままでは社会が成り立たない。働く人を増やす必要があるから。
  • 海外と比べて、日本は女性の社会進出は少ない。
    統計を見ると、企業幹部の女性割合と政治家の女性の割合は欧米各国と比べて少ない。
  • なぜ日本の女性の社会進出は少ないのか?
    理由は二つ。(1)男は外で稼ぎ、女は家を守るという意識が、日本は根強い。(2)上昇志向(出世意欲)が、女子は男子と比べて低い。これらをまとめて無意識のバイアスと呼ぶ。

 

 この話の難しい点は、女性の社会進出を促進する理由を、個々人の生き方の理想をかなえるためではなく、日本社会のためとしていること。日本社会のためなら、出世したくない女子を厳しいビジネスの世界に叩き込んでいいのか?と疑問に思う。

 次に出世意欲が低い女子がいたとして、彼女の背中を押すことは彼女に苦痛を与える。苦痛を与えてまで彼女の望まない生き方をさせることは正しいのか?と疑問に思う。(無意識のバイアスが、彼女の出世意欲の低い理由であっても、今の彼女の理想は出世することではないことに注意)

 最後に、「男は外で稼ぎ、女は家を守る」という意識を持つことは悪い訳ではない。これは文化であり、文化に良いも悪いもない。それなのに、”古い習慣に引きずられて「男は外で稼ぎ、女は家を守る」という意識が残っている。”のような表現を多々見かける。これは詭弁である(”古い”というネガティブワードを使う点)*1

 

  一方で、成功体験のある女性にとって、出世意欲の低い女子は無意識のバイアスに絡めとられた救うべき対象に感じられるかもしれない。すると議論はややこしくなる。

 

 個々人が出世したいかどうかは個々人に任せる。周りの人は、個々人の多様性を認め、女性だから男性だからと先入観で判断しない。こんな態度が良いのではないかと思う。

 

おまけ

 女性の社会進出に関わる記事で「無意識のバイアス」という言葉がよく出る(ネット検索して欲しい)。ノーベル賞を受賞したダニエルカーネマンの研究で示されている通り、人間は必ず「無意識のバイアス」がある。それは生物学的な部分に起因していたり、文化的に起因していたりする。ジェンダーの違いに関する「無意識のバイアス」に気を取られると、他の「無意識のバイアス」に気づくことが難しくなる。

 

*1:詭弁と言えば「女性の社会進出が進んでいる海外では、、、」のように女性の社会進出率が高いことが良いことのように表現することも詭弁である。