kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



映画「蜜蜂と遠雷」の感想:松岡茉優と松坂桃李の演技と、映像表現、音楽に注目して欲しい

mitsubachi-enrai-movie.jp

 

 映画「ミツバチと遠雷」を観ました。

 良かったですよ。主演の松岡茉優さんは熱演でした。私は、彼女を知らなかったのですが、調べてみると「ちはやふる」のクイーンの役の人なのですね。映画の間、ずっと思いつめた表情の演技をし、要所要所で見せる笑顔が、天才少女 栄伝亜夜の葛藤を良く表しています。ピアノを続けるべきか、やめるべきか。ピアノが好きなのか、嫌いないのか。何のためにピアノを弾くのか。一方で、幼馴染の「まーくん」と話すときに見せる柔らかな表情は見事で、彼女(栄伝亜夜)の幼少期が幸せであったことを伝えます。

 また、松坂桃李はさすがに上手い。エリートではない庶民派ピアニスト 高島明石をしっかり演じます。年齢的に後が無いピアニストの焦燥感と、人としての懐の広さをよく表現しています。彼の存在がコントラストとなって、栄伝亜夜の天才性と人としての脆さが浮き彫りにされていきます。

 映像は、全体的にマットな色で重苦しい。特に、コンサート会場の控室は青味がかかった色調で、控室から舞台に出ると黄色がかった色調へと変わる点が印象的。また、母親との思い出のシーンでは暗部を中心に緑色。

 松岡茉優(栄伝亜夜)の衣装も、最初は重苦しい赤色、そして淡いブルー、最後に濃いターコイズブルーと、ずっと重苦しい。

 松岡茉優(栄伝亜夜)のメイクを見ると、ずっと青白い。その青白い顔で「まーくん」と笑顔で話す姿には痛々しさは無く、安らぎを感じます。また、最後のコンクール本線での演奏シーンでは、何かを吹っ切ったような若干の狂気をはらんだ表情で、ここのメイクも青白い。演奏が終わった後の、一転したカタルシスの表情は見事。メイクも少し暖かい色に変わる。

 この最後の表情が、映画最大の見どころ。見ている側も、製作者側の意図を理解できます。天才復活。

 

まとめ

 良い映画でした。映画を支えているのは、松岡茉優松坂桃李の見事な演技、映像表現、原作の質の高さ。

 原作はまだ読んでいませんが、上下巻に分かれている分量があり、映画にすべてのシーンを盛り込めていないと想像します。そのせいか、映画では、意味の分からないシーンがいくつかあります。例えば、超絶技巧のピアニスト「ジェニファ・チャン」、ピアノ修理職人、コンクール会場のクローク係。原作では、たぶん深掘りされていたであろう人たちが、(たぶん時間の都合で)映画ではあっさり描かれています。是非、原作を読もうと思う。

 

おまけ

 この映画では、ピアノ演奏のシーンが長く音楽も楽しめます。この点は、映画「のだめカンタービレ」と同じですが、「のだめ」が誰もが知っているポピュラーな曲を使っていたのに比べ、「蜜蜂と遠雷」は知らない曲ばかりで、発見が多い。