kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



技術はニンジン、イノベーションは料理

fuRo所長の古田貴之氏の「技術はニンジンや大根などの素材にすぎない、おいしいと思ってもらうことが幸せ」という言葉を日経エレクトロニクスで読んだ*1。面白い表現である。

技術が供する製品なりサービスなりを料理と考えると分かりやすい。料理がおいしいためには良い材料が必要だが、その材料であるニンジンのおいしさを追求しても料理がおいしくなるとは限らない。料理がおいしいためには、ニンジン以外のすべての材料もおいしいことと、調理(火加減、タイミング、味付け)、盛り付けの全てが上手いことが必要である。

古田氏の言葉を取り上げたのは、”イノベーション”という言葉を考え直すきっかけになったからである。”イノベーション”イコール”発明”ではない。

イノベーションとは、新しい技術の発明だけではなく、新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革である。つまり、それまでのモノ、仕組みなどに対して、全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こすことを指す。
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このようにイノベーションを大きな社会的変化を起こすものと定義すると、単一技術でイノベーションを起こすのは難しい。いくつかの技術(ニンジン、大根)を揃え、腕のいい調理人を用意しなければならない。

技術を作るエンジニアの立場からすると、うまい料理のためのニンジンを作ることは非常に難しい。最終料理が分からなければ、甘いニンジンが上手いのか、柔らかいニンジンがうまいのか分からず、どんなニンジンを作ってよいのか分からない。

今は、単一の技術で価値を作れる時代(ニンジンサラダのようなシンプルな料理に価値を作れた時代)ではないようだ。