kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



IPv6が立ち上がれない

日本が注力してきたIPv6が立ち上がれないでいる。ここで「注力」とは「税金が突っ込まれた」ことを意味することに注意が必要である。税金を突っ込む際のロジックは、世界的に必須となるIPv6技術にて日本が先行することにより日系企業の世界における競争力を確保する、というものだ(税金を投入する時のロジックはいつもこれだ)。

では何故IPv6が将来必須になるかといえば、IPv6推進者の意見はおおよそ以下であろう。
http://it.nikkei.co.jp/business/netjihyo/index.aspx?n=MMITs2000024032009&cp=1

IPv4アドレスが枯渇する

枯渇すると何が困るかというと、

枯渇対応を誤るとインターネットはこのようなバラバラでツギハギ模様のネットワークになってしまいかねない。
(中略)
この「ツギハギ」ネットワークには、2つの大きな問題点がある。

 (1)バラバラであればあるほどコストがかさむ

 図からも明らかなように、事業者の対応がバラバラであればあるほど、新たな装置の設置を必要とし、全体としてコスト増の要因となる。

 (2)ツギハギなネットはつながりにくい

 ツギハギだらけのネットワークがそのまま拡大していくと、「なんとなくつながりにくい」「ある場所とは通信ができない」「突然遅くなる」など、さまざまな症状がでてくるであろう。対応が適切でないとインターネットがどんどん痛んでいく。

困る理由が、あまりに漠然としていると思わないだろうか?
素人向きに詳細を省略したが故に表現が漠然としたのではなく、専門家でもこれ以上詳細に言える人がいないというのが実情である。

一方、IPv6化が進まない理由は、以下がよくまとまっている。
http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?n=MMITs2000007092009&cp=1

 なぜか。単純にいえば、v6を使う明確なメリットがないからだ。以前は、v4では不可能なことが、v6なら実現できるとされ、例としてセキュリティーの向上やモバイル通信の充実などがよく挙げられた。しかし、v4の利用技術の発展により、v6でできるようになるはずだったことの大半はv4でもできるようになった。

これに対して、IPv6コミュニティでよく言われるのが、

サービス提供側がv6でしかできないものを出してくれば、話は変わる。たとえばグーグルやアマゾンが、魅力的な新サービスをv6専用で提供すれば、ユーザーもそれを使うことは間違いない。

つまり漠然と、何か「魅力的な新サービスを」誰かが提供するので、IPv6は普及する、と言うことだ。

しかし、少なくとも今日まで、そうしたシナリオは実現していない。IT業界の中にさえ「v4アドレスは実際には不足しない」「売買すれば解決される」「v4延命技術で当分問題ない」といった「本音」が根強く、

このIPv4延命技術の開発は綿々と続いていて、はじめはサイダー技術が開発され、次にNATが開発された(NATはエンドエンドコネクティビティを阻害するので悪であるとIPv6コミュニティでは言うが、実際に現在NATで困っていないこと、IPv6になってもファイヤーウォールは必要であるためエンドエンドコネクティビティは現実には機能しない、ことに注意が必要である)。

そして最近は、CGN(キャリアグレードNAT)の開発が進んでいる。これに対しても、IPv6コミュニティからのセッション数が制限されるのでgoogle mapなどのセッションを多数張るサービスが使用できなくなるとの反論があるが、全世界の端末をIPv6化するコストと、Googleが自社のサービスが使うセッション数を小さくするよう設定を変えるコストを比較すれば、世の中はCGNの方に流れるように思える。

税金をさらに突っ込んで日本だけIPv6化するというのも机上では可能だが、実際に行えば、アメリカのWEB(Google, Amazon,,,)を見れなくなる。

 米国では、政府のネットは調達規則により、今年6月までにすべてv6対応にすると決められていたが、実際には守られていない。

税金の側面から、

日本の努力は「狼少年」だったのか

という点を考えれば、ユーザニーズを考えずに、できること・得意なことに飛びついて税金を使ったことが問題の真因である。

しかしながら、税金は既に突っ込んでしまったので、この落とし前をどうつけるか、

  • どうすればIPv6を普及させられるかシナリオを策定し
  • そのシナリオの中で日本企業が世界に対してどう優位なポジションを確保するか(PCに関してはWindowsLinux等のIPv6化はできているのでが、これらが海外勢のプロダクトであり、日本企業の競争優位にならないことに注意が必要である)

考えていく必要がある。