小宮山宏の「課題先進国」を読んだので、そのメモを記す。良い本である。お勧め。
著者の主張
日本の課題は今後世界の課題となる。他国に先駆けて日本はその課題を解決すること
により、世界のイニシアチブを取れ。
問題の分析
先進課題を解く際には、参考となるモデルが無いためモデル作りから始める必要が
ある。これは課題解決を一段と難しくする。
また、現代は知の細分化が進んでおり、全体を見通すことが難しくなっている。具
体的には、知が与える影響力を実感できない(リアリティの喪失)。また、課題解決
に必要な知がどれなのか分からなくなっている。これらの全体を見通せないことが、
協力者のコミットメントを得にくくし、また課題解決の議論を非効率にする。
課題を解決する方法
先進課題は多くの課題から構成されるため、誰も全体を見渡せない。そのため、課
題の構造化とそれを解決する知の構造化が必要である。この構造化を行うために
- 具体的に議論する
- 一億枚の全体像があることを理解して議論に臨む((全体が見渡せないため一枚の全
体像を描けず、結果全体像がいくつも存在することになる))
- ”ひらめき”を大切にする((解AとBの中間解を探るのではなく新しい解のモデルへ
飛躍することが大切))。”ひらめく”ために議論を行っているのである
- 新しいモデルに基づく解は、それが正しいかどうかの検証が必要である。その検証
には社会実験が必要である*1
気づき
理論のすごさを再認識した。理論は、実現手法や制限等を取り去った理想値を教えて
くれる。ちなみに、「理論は現実とは違う」とは正しいもの言いではない、「その理
論の前提は現実とは違う」が正しい言い方。
- 作者: 小宮山宏
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2007/09/01
- メディア: 単行本
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