kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



D90のオートフォーカスの詳細

D90オートフォーカスの機能について先日まとめていて、なんだかややこしいなと感じた。ややこしいには訳があるはずで、その理由を推測まじりで考えてみた。

 オートフォーカスの難しさの一番はターゲット追尾機能*1である。カメラは実空間を理解しないので、ターゲット追尾機能を実現するには、画像からターゲットを認識するという画像認識機能が必要となる。これは、コンピュータビジョンと呼ばれる技術領域でなかなか奥が深い領域である。

 ターゲット認識では、まずユーザにフォーカスポイントをターゲットに合わせてもらうことにより、絵の中のどの部分がターゲットなのかをカメラが知る。絵の構図が変わったときには、変更前後の絵の差分を取ってターゲットがどこに移動したかを算出し、移動したターゲットに対して再度ピントを合わせるという手順を行うことになる。

 ここで難しいのが2点。一つ目はターゲットの形が変わってしまったとき*2にでもそれをターゲットだとカメラが識別できるかということと、2つ目はユーザがカメラを振ったときにピントを合わせるターゲットを変えたのかただカメラがぶれただけなのかを判断することである。

 一つ目に関しては、ニコンは測光の際に色も識別しているため*3、色情報も使ってターゲットを追いかけることをしているようである*4

 2つ目に関しては、カメラが振れたときに次のターゲットをカメラが選ぶとピントがうろうろするので、一時的にターゲットがいなくなったときにでもしばらくはピント位置を固定するというアルゴリズムが入っている*5。また、カメラが振れてターゲットを見失った(背景抜け)の場合と、ターゲットの前を別の何かが横切ってターゲットを見失った場合で、ピント位置を固定する時間を変えるということも考えている*6
 
 追記
 ニコンの測光センサーは色を識別しており、それをオートフォーカスにも使っているという説明はD90のパンフレットをよく見ると分かるのだが、あまりにもニコンの主張は分かりにくいと思う*7。以下は、ニコンD90のパンフレットより抜粋。

*1:一度ピントを合わせた対象物にピントを合わせ続ける機能

*2:例えば、バスケットボールでぐっとかがんだ後にジャンプして体を伸ばしたとき。

*3:420分割RGBセンサーと呼ばれているもの。

*4:特許第3174869号を参照

*5:特許第3569973号を参照

*6:特開2006-330567

*7:「420分割RGBセンサー」がユーザにどう嬉しいのか伝わってこないパンフレットになっている。