kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



コンプレックス市場

 自己啓発本が以前から売れている。またHACK本も人気である。

 しかし、これらの書籍を手に取ると、どうにもうすっぺらい感じがする。そのうすっぺらい感じがどこから来るのか、うまく言葉にすることが出来なかった。今日あるブログを読んでいてやっと分かった。まずは、そのブログの一節を引用する。
http://news.livedoor.com/article/detail/4825512/

本が売れないというなかで、なぜ勝間本は売れているのだろうか。売れている理由の一端を実は勝間さん自身が明かしている。普通は売るための手段というのは絶対に明かさないものだが、実にあっけらかんと語っている。それは「利益の方程式」という勝間和代さんの2年前の著作にあった。まず、自己啓発本が買ってもらうために、どんな心理に訴えているのかということ。やや長いが引用すると−

”顧客価値について例外なく、高い単価を得ることができる市場があります。それは何かというと、自分の持っているとても大きな課題を解決したいという根源的なニーズ、すなわち「コンプレックス市場」です。(中略)コンプレックス市場とは、たとえば薄毛、肥満、英語、しわ・シミ取り、豊胸、金儲け、出世、恋人探し、子どもへの教育などがその典型です。しかも、このようなコンプレックスの多くは加齢による不可逆な変化だったり、あるいは生活習慣の改善など一定の努力を伴うものだったりするのですが、多くの消費者は辛いこと、苦しいことが苦手なため、あるいは加齢のような自然現象を認めたくないため、多くの消費をこの市場に落とすことになります。

(中略)コンプレックスの解消に対してカタルシスを与える、あるいはコンプレックスの解消に対して簡単な方法で解決策を提供すると、爆発的なヒットも生まれます。新書で言いますと、たとえば女性の品格 (PHP新書)や下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)がなぜあんなに売れたのかということを思い出してみると、わかりやすいかもしれません。”

つまり、「辛いこと、苦しいことが苦手な」人向けに、自己啓発本やHACK本が書かれているということだ。これでは、うすっぺらい感じがするのも当たり前だ。

 本来自己啓発とは自分の力をアップすることだが、今の自己啓発本は「楽をする」ためにあるいは「楽をしたい」人が読むもののようだ。
「楽をしたい」人が自己啓発本を読むと、「楽をする」ための言い訳に本の内容を使うものだ。例えば、仕事の優先度をつけるという、仕事の基本があるが、「楽をしたい」人は嫌な仕事をしないための言い訳に仕事の優先度を使う。つまり、嫌な仕事は優先度を考慮して「やらないのだ」*1

 自己啓発の本質は、効率を上げる工夫と同時に器を大きくする努力もするということだが、「辛いこと、苦しいことが苦手な」人には、器を大きくする事に関しては省略され、(「効率を上げる」に良く似た)楽をするテクニックが自己啓発本では紹介される。なぜならそうすると売れるからである。

*1:「優先度」が、仕事を「やる」ための道具ではなく「やらない」ための道具になっている。