kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



mixiの新APIの本当の意味を考える

“反Facebook連合”結成!? ミクシィの新プラットフォームで始まる「ネット最終戦争」


 mixiが「mixi meetup 2010」で、新しいAPIである「mixi Plugin」「mixi Graph API」を公開した。記事では面白おかしくFacebook連合との対決を煽っているが、このAPIの意味はそんなところにあるのではない。

 従来SNSというのは、ユーザを集めるための場としての機能と、集まったユーザをソーシャルグラフとして整理する機能の二つがあった。各々のSNSはこれらの二つの機能を自前で用意する垂直統合型のビジネスモデルであった。ところが今回のmixiAPIは、これらの二つの機能を分離する水平分業型のビジネスモデルを可能とする。例えば、mixiは日記を書くためのネタとしてニュース記事をユーザに提供しているが、このAPIはニュース記事を別のサイトに提供する分業を可能とする。モバゲーはこの辺のビジネスモデルの変化を良く分かっているようで、次のような発言をしているようだ。

 ソーシャルゲームが絶好調のモバゲーは、従来から「自分たちはSNSというよりゲームポータル」という発言もしており、ソーシャルグラフに関してはmixiに任せ、自分たちはゲームに資源を集中する施策に出たようだ。

 ソーシャルグラフを提供する機能は、ユーザが増えるほど価値が増すという外部性があるため、スモールスタートが難しい。一方、ユーザを集める場を提供する機能は、ターゲットするユーザを絞り込めば(つまり、尖ったサービスを用意すれば)、少数ユーザであってもビジネスとして成り立ち、スモールスタートが可能である。このように考えれば、SNSの水平分業はwin-winの関係を構築しうる。

 mixiにとどまらずSNSというビジネスの今後の展開を予想すると、ソーシャルグラフを提供する側は、いわばプラットフォームを提供することになるので、淘汰・寡占が進むはずである。そして、そのプラットフォーム上でビジネスを構築する側は、アイデア一つでスモールスタートができるため、新しいビジネスが出ては廃れていく多産多死によるイノベーションが起こるかもしれない。

 この水平分業モデルは日本だけではなく、日本以外では圧倒的なシェアを誇るFacebookも狙っている。日本の島国という特殊性のため、Facebookmixiが簡単に負けるとは思わないが、ソーシャルグラフの上でスモールビジネスを起こす側のことを考えると、米国には企業家精神に溢れた人間が多いので、イノベーションは米国で起こりそうである。