kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



もしプログラマがドラッカーを読んだら

 「リファクタリング・ウエットウエア」というプログラマ向けの本を読んだ。
http://d.hatena.ne.jp/kota2009/20101021/1287659131
この本の内容が妙にドラッカーと重なる。

ふたつの共通点と分析

ピーター・ドラッカーは、ネクスソサエティを知識社会であると説いた。知識社会とは、知識を基盤として経済活動が行われる社会であり、その主役は知識労働者である。

一方、「リファクタリング・ウエットウエア」によれば、技能の習熟過程において、初心者は目の前にある課題を片付けることだけに関心があり、その作業手順を知りたがる。達人は、作業手順よりもその課題に関するあらゆる情報(コンテクスト)を知りたがる。それゆえ、初心者は典型的な状況での課題の処理しかできず、達人はあらゆる状況において課題を処理できる。

ドラッカーの言う知識労働者とは、「リファクタリング・ウエットウエア」で言う達人のことだと思える。初心者が行う処理は、きまりきった手順(マニュアル)によって行われる。これは、その処理が事務処理であっても知識労働とは呼べない、肉体労働である。肉体労働はICTによって人手を介さずに処理できるため、知識労働のみが価値を生む作業となる。

また「リファクタリング・ウエットウエア」によれば、ほとんどの人間は達人になることはなく、初心者の次の中級者になるのがやっとである。これは、大部分の人間が価値を生めなくなり、一部の人間(達人)のみが価値を生む社会が到来することを示唆する。この社会は、強度の格差社会である。すなわち、一部の人間(達人)が富を独占し、大部分の人間(中級者)が残りの富を取り合うことになる。

まとめ

知識労働とは、コンテキストに応じて処理を行うものである。コンテキストに無関係にできる処理は機械化され、価値を生まなくなる。しかし、知識労働ができる人間は多くない。

ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる

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