昨日のNHKクローズアップ現代で、風力発電事業に関する話題が取り上げられていた。この話題は中々面白いので整理しておこうと思う。
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=2967
国が新エネルギー導入のために、自治体に補助金をだして進めてきた風力発電。その約60%は採算がとれず、各地で「赤字」に陥っていることが、NHKの調べで明らかになった。「風が吹かない」「落雷で故障」というのがその理由だが、この補助金は、「エネルギー対策特別会計」から出ているため、事業から撤退すれば補助金を返還しなくてはならない。今、補助金制度から新たな制度への移行が検討される中、風力発電を通して、「特別会計のあり方」を考えていく。
お金の視点
「風力発電は自治体の事業であり、その60%が赤字である。」というのが事実である。これに関連するQuestionsは、
- 何故、自治体は風力発電事業に乗り出したのか?
- その答は、国が補助金を出すからである。
- 何故、自治体は赤字事業を辞めないのか?
- その答は、これまで国からもらった補助金を返す必要があり、これが返せないからである。
これって、一度手を染めたら逃れられない怪しい商売と同じで、もう自治体は、風力発電事業から逃れられないわけです。
政策の視点
では、風力発電に補助金を出すという政策は、筋が悪いのでしょうか?私は筋が良いと考えます。理由は二つあって、一つ目は、再生エネルギーの候補として風力発電は最有力です。日本では太陽光発電が注目を集めていますが、電力コストは風力発電が圧倒的に低いのです。そのため、風力発電に金を使うというのは、筋が悪くありません。二つ目の理由は、自治体が風力発電事業を辞められない仕組みにしていることです。この手の新エネルギー事業を実用レベルにするには、いくつかの技術革新およびコストダウンが必要です。これらを実現するには、継続的な投資が行われる必要があるわけで、簡単に自治体が事業を辞めては困るわけです。