kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



電子書籍の行方

 近所にブックオフができたので、さっそく店内を覗きにいってきました。そこでふと書籍の電子化が進むと古本屋というのはどうなるんだろう?と疑問が浮かびました。そこで、電子書籍に関する状況をまとめ、今後を想像してみました。

時代の流れ

 温故知新ということで、まずは音楽の電子化がどう進んだのか振り返ってみましょう。

 昔、音楽をレコードで聞いていた時代がありました。LPレコードというのは直径30センチもあり、大変かさばるものでした。また、アナログ記録であったため、聞くたびに音が劣化する、ランダムアクセスできないという欠点があります。1980年代に入るとコンパクトディスク(CD)が登場し、場所をとらない、音が劣化しない、ランダムアクセスできる、という長所のため、瞬く間にレコードはCDに駆逐されていきました。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89#LP.E3.83.AC.E3.82.B3.E3.83.BC.E3.83.89

 CDが出現した当時のレコード派の人々の主張は、「場所をとるというのは、一部屋がレコードで埋まるくらいにたくさん持ってる人間が言うセリフである」、「アナログの音が自然で美しい」、「アルバムは最初から最後まで収録順序通りに聞くのが、アーティストに対する礼儀である」というものでした。しかし、その主張も空しくレコードは駆逐されていきました。 

 そして、現代では次のステージに進んでいて、いまや音楽はiPodや携帯電話で聞くものであり、音楽の流通はCDからネットに移行しています*1

 音楽の電子化の歴史を振り返り、電子化の利点をまとめれば、(1)場所をとらない、(2)劣化しない、(3)ランダムアクセス可能(検索ができる)と言えそうです。この利点ゆえに書籍も電子化が進むと言えそうです*2

業界の構造

 つぎに、音楽業界と出版業界の構造を比較してみましょう*3。音楽業界は、

  • 楽家(音楽を作る人・演奏する人)
  • レコード会社(音楽のコピーを作る人)
  • レコード屋(音楽を流通させる人)
  • ユーザ(音楽にお金を払う人)
  • 端末メーカ(音楽プレーヤーを製造販売する人)

このような構造になっていて、ユーザが支払ったお金を、音楽家・レコード会社・レコード屋で分配しています。そして、レコードからCDへという音楽の電子化(ディジタル化)が特に混乱無く行われたのは、このお金の分配システムが変化しなかったためです。つまり、既得権者の利益を損なわない形でCDがデザインされていたのです*4*5。そして、半導体の進歩により、音楽データを圧縮して携帯機器で聞くことが簡単に出来るようになったこととインターネットの普及が音楽のオンライン配信を普及させ、CDを駆逐しようとしています。

 では、出版業界の構造を見てみると、

  • 作家(本を書く人)
  • 出版社(本のコピーを作る人)
  • 本屋(本を流通させる人)
  • ユーザ(本にお金を払う人)

このような構造になっている。音楽と似た構造であるが、大きく異なるのは、本を読むための機器が従来は存在せず、そのため電子書籍を立ち上げるためには電子書籍端末も立ち上げなければならないことである。これが問題で、電子書籍端末がユーザに受け入れられるのか業界全体で疑心暗鬼であることと、そのスペックをどうすればよいのかも不明である*6。さらに、電子書籍が実現すると本屋さんという既得権者が大打撃を受けるのが目に見えている。まとめると、電子書籍化を進めるドライブフォースは、音楽の場合と同じ3つの利点((1)場所をとらない、(2)劣化しない、(3)ランダムアクセス可能(検索ができる))である。一方、阻害要因は、(1)本屋さんがうける打撃をどう和らげるか、(2)著作権管理の仕組みをいかに導入するかあるいは導入しないかのコンセンサス作り、である。著作権管理の仕組みは、利益分配の仕組みと直結するため、話が進まない可能性が大いにある。

古本屋の行方

 音楽の場合、中古CDの市場はどんどん縮小している。これは新規CDの売り上げが減っていることからも分かる。では、書籍が電子化した場合の中古市場はどうなるだろうか?
 私は、書籍の場合も中古市場は衰退すると考えている。その理由は、現在は出版業界自身が縮小しており、このままでは成り行かないとの出版業界の危機感がドライブフォースになると考えているためだ。中古市場が衰退しないシナリオは、書籍の著作権管理が厳密に行われ、紙メディアが電子メディアになるだけで、流通の構造に変化が起こらない場合である。この場合は、書籍市場自身が活性化はせず、現状維持である*7
 中古市場が衰退するとしたら、その中で生き残っていくのは、現在のブックオフのような一般書を扱う古本屋ではなく、専門性を持った本を扱うようなニッチを狙った古本屋であると思う。たとえば、以下の古本屋サイトは可能性があると思う。

http://youbooks.petit.cc/

*1:CDの売上枚数は右肩下がりである

*2:正確には、書籍の電子化のドライブフォースがこの3つの利点である、ということです。

*3:私は特別業界に詳しいわけではないので、間違いがあれば指摘してください。

*4:CDの開発は、主に端末メーカによって行われました。

*5:CD開発当時はまだWindowsもなく、MP3のように音楽を圧縮するなんてことはとても現実的ではありませんでした。

*6:たとえば、サイズひとつにしても、雑誌サイズの端末が必要なのか、文庫本サイズが良いのか不明である。

*7:既得権者はそれで良いと思うかもしれないが。。