TVは生活に無くてはならないものだと思いますが、TV業界はいま変革期を向けている。その変革を促しているのはインターネットである。
TV業界を考えることは何故重要か?
普段無料で見ているTVですが、TV業界は広告費によってなりたっています。その業界規模は2.8兆円と結構大きいのです。そして世界的にはTVは40億人が見る巨大なメディアなのである。この巨大さゆえにGoogleはGoogleTVをぶち上げたのである。以下は、Google I/O 2010でのRishi Chandraの言葉である。
TV市場の現状の説明から始まる。TV市場がいかに大きいかアピールしている。彼は、誰だって皆テレビが大好きだと語る。米国ではテレビは未だに一日当り5時間は視聴されているという。テレビ市場は年間で700億ドル稼いでおり、今でも強力なメディアの一つだと主張。しかも、全世界規模では40億の人々がテレビを見ている。これほど大きな市場を持つ端末は他にはないと指摘。
インターネットがTV業界に与える衝撃は何故大きいのか?
TV放送業界というのは、実は保護産業である。総務省から電波を割り当てられた放送局のみがTV放送を行うことができ、新規参入業者のない業界のである。一般企業の払う広告費はTV局に集中し、TV局はその集まった資金で下請けの番組制作会社をつかってTV番組を作って流している。そのTV番組に関する権利はTV局が握っており、他局に流れることはない。
このように政府に保護されたTV局がTV業界を支配している。このような既得権者にとって、インターネットでTVコンテンツ(動画コンテンツ)を配信は、まさに業界支配の構図を一変させる威力をもつ。
インターネットはどこまでTVに食い込んでいるか?
私が注目しているのは米国のNetFlix社である。彼らは元はレンタルDVDの会社であったが、レンタルDVDを郵送するサービスを始め、次にDVDのコンテンツをインターネットで配信するサービスへと、業態をシフトさせている。このように少しずつ業態をシフトさせることで、(1)既存のユーザを新しい業態へ誘導できる、(2)既得権者の反発を和らげることができている。
先日、このNetFlixの業績が発表された。
第4四半期の利益は前年同期比で52%の増加、売上高は同34%の成長となった。
Freeサービスが大流行のインターネットサービスにおいて、NetFlixは着実に利益を上げ、そして利益を伸ばしているのだ。利益が出ていれば投資も集めやすく、さらに規模を拡大できる。インターネットサービスにおいてはいかに規模を集めるかが勝負の分かれ目であるため、NetFlixがクリティカルマスを超えれば、安定した企業運営が可能となるだろう。
そして、NetFlixが成功すれば、それが先例となり同種のサービスが世界で立ち上がるだろう。
もちろんTV業界の既得権者はインターネットサービスの不足な点を主張するだろう。しかし、この構図はクリステンセンの「イノベーションのジレンマ」を思い出させる。ユーザが欲するものを提供するものが、最後は生き残るのである。