kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



原発事故の責任を取るべきは、東京電力か?それとも国か?


 福島原発の事故の責任を、東京電力がとるべきだとのブログをみかける。また、被災者の保証にかかる費用を考えると、東京電力は破たんするなどの噂も散見する。私は法律家ではないが、この手の意見には違和感を覚える。今日はその理由について述べる。(写真はwikimediaより)

原発を造らせたのは国である

 まず原子力発電でどれくらいのエネルギーを賄うかは、国のエネルギー政策に従って決められていく。東京電力関西電力のような電力会社が原子力発電を全廃して火力発電ですべてを賄いたいと思っても、国が許さない。前鳩山首相が温暖化ガス25%削減を国際社会に約束したのを覚えているだろうか。この約束を果たすために、政府は原発推進に舵を切ったのだ。また、今回の福島原発事故で米国オバマ大統領の原発推進政策の先行きが暗くなったとか、原発大国フランスのサルコジ大統領が来日するなどの動きからも分かるように、原発を造ることは国の政策なのである。

原子力災害特別措置法とは?

 原発事故が起こる確率は小さくても、実際に事故が起こった場合にはその影響が甚大であることは、国も電力会社も分かっている。そのような事故リスクを電力会社が単独で負うことはできない。電力会社がもし純粋な民間会社であれば、このようなリスクを負うことはできないので原発を作らないという選択肢もある。しかしながら、上述したように電力会社にはこの選択肢はないのだ。そのため、国が事故リスクを追う仕組みとして作ったのが、原子力災害特別措置法である。この原子力特別災害措置法にて、国が事故賠償金を出すことになっている。ただし、この法律はあいまいにできていて、電力会社の最大賠償額が規定されていない。以下は、日本原子力産業教会のホームページからの抜粋。要するに、国は電力会社を助けることも潰すこともできる法律になっている。

日本においては、賠償措置額600億円(平成22年1月1日以降は1200億円)はその全額を責任保険付保により措置されています。責任保険の免責事由に相当する場合は、国との補償契約により補償されます。原子力事業者の賠償責任には限度額が設定されていないため、事業者は賠償措置額を超える損害についても、賠償責任を負うこととなる無限責任となっています。ただし、原子力事業者が賠償責任を果たせないような場合は、国会の議決により国が援助することになっています。また、異常に巨大な天災地変、社会的動乱によって生じた損害の場合には、原子力事業者の責任範囲外となり、国が必要な措置を行うこととなります。

責任を取るのは誰か?

 被災に対する補償という意味で、責任を取るのは国であるべきと私は考えている。その理由は、2つ。
 一つ目は、原発推進は国策であり、電力会社に拒否権がないためである。変な例えをすると、ここ数年三菱電機は不採算事業からの撤退を積極的に行い、売り上げは下がったが、利益は上がった。では、電力会社が不採算事業から撤退できたかというと、できないのだ。例えば、福島原発を捨てて、一日に3000万KWの発電しかしないという判断を東京電力はできない。このように事業判断を東京電力が自由にできない以上、国に責任があると考える。
 二つ目は、もし政府が東京電力を破たんさせた場合、関西電力などの他の電力会社への影響が大きいためである。東京電力の破たんさせた場合、他の電力会社は、政府は原発事故のリスクを負わないと思うだろう。そうなると、電力会社は原発推進に対して政府に協力することはできなくなる。

国は責任を回避できるか?

 国が責任を取らないで逃げることができるとしたら、それは原発推進政策を捨てる場合である。つまり、日本は原発無しでやっていけるか?という判断が必要になる。私は原発無しではやっていけないと思う。

追記

池田信夫さんのブログ。原発に対して冷静に認識をしている。
安全神話からリスク負担へ


経団連の会長のコメントが出ました(2011/4/11)。産業界のコメントとしてはもっとも。
経団連会長、原発事故「甘かったのは国の安全基準」