はじめに
将来のビジョンを描く、これはエンジニアにとって大切なスキルです。将来のビジョンを描くことにより新たな価値を予測し、それに向って時間を使うことで大きな価値の仕事を行うことが出来ます。そんなこともあって、私は2020年の世界を想像する訓練をたまにします。本記事はその一環です。
カメラの進化の軌跡
まず過去を振り返ってカメラがどう進化してきたか復習します。キーワードは、デジタル化、計算機の進化、クラウドです。
まずは、デジタル化についてです。昔の銀塩カメラからデジタルカメラに変化して何が変わったでしょうか。私は以下だと考えています。
- フィルムからの解放
- 写真の縦横比を自由に変更することが出来るようになった
- 写真を見る際に自由な大きさで見ることが出来るようになった
- レンズからの解放
- オリンパスのアートフィルタに代表されるように、写真に様々な加工を行うことが出来るようになった
つぎに、計算機の進化について、私は以下のように考えています。
- レンズ設計が容易に
クラウドについては、以下のように考えています。
- 写真共有サイト
- 例えばflickrを見ればたくさんの写真が掲載されており、旅先で自分が撮った場所と同じ場所の写真がたくさん見つかる。綺麗な風景写真が欲しいのであれば、他人の撮影したものが容易に手に入るようになった
- 撮った写真よりも、写真を撮るというユーザ体験が重要になってきている
2020年のカメラ
2020年のカメラを考える上で大切な概念は、コンピューテーショナルフォトグラフィ、コミュニケーション、AR、撮影目的の多様化である。
コンピューテーショナルフォトグラフィ
現在の写真家の価値観は、銀塩カメラ時代のそれをまだ引きずっている。代表的なものは写真は引き算という考え方。しかし、写真には位置情報や気温情報などを含めて様々な情報を加えておいて、見る側でそれらを取捨選択する形態が出てくるのではないかと思っている。
また、現在はどこにピントを合わせるかが写真表現として重視されているが、この場合のピントは一点に合わせることが想定されている。将来は、手前と奥の2点にピントが合った写真が撮れるようになるかもしれない。これにより写真表現の幅がぐんと広がる。
コミュニケーション
写真を撮る目的には大きく、記録と記憶がある。記録に関してはクラウドによる写真共有で各個人が写真撮影する必要性は薄れる。一方、記憶に関しては動画にその役目を奪われるのではないかと考えている。他人とコミュニケーションするための写真撮影が今後増えていき、使い捨ての写真が増える。
撮影目的の多様化
これまでは芸術・記録・記念の3つの目的で写真撮影が行われてきた。今後は、コミュニケーションを含めた様々な目的で写真撮影がなされる。あるいは、無目的な写真撮影が行われる(Life Log)。無目的な写真撮影において大切なユースケースは、検索・加工である。撮影時になかった目的が、後からみつけられる。後付の目的のために写真を検索・加工できるよう、写真にはたくさんの情報を付与して記録されるだろう。
まとめ
2020年の世界に思いを馳せ、個人的な考えを書き連ねてみました。一番大切だと思っているのは、無目的な撮影において後付けの目的をみつけるのは、ユーザではなくメーカーあるいはサービサーであるということです。エンジニアはいつも創造的であることを求められます。