kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



Googleのモトローラ買収の次

 Googleモトローラ・モビリティズ(モトローラ社の携帯電話部門)を約1兆円で買収すると発表しました。これでGoogleAndroidというソフトウエアと携帯電話のハードウエアの両方を手に入れることになります。では、今後Googleはどう動くのでしょうか?今日は少しここら辺を想像してみましょう。
 まずは練習問題として、「グーグルがモトローラを買収してもアップルを超えられない理由」に反論してみましょう*1
 上記のエントリでは、Googleがアップルに及ばない理由を3つ挙げています。

理由その1は、アップルの垂直モデルと同じ垂直モデルをGoogleが作れないという点です。

もし、圧倒的に音楽コンテンツを抑えているiTunesを崩す新しいプラットフォームのビジネスモデルをつくることができれば、アップルの足元を揺るがすことができます。
そういう意味では、グーグルがチャレンジすべきは、クラウド型で"聴き放題"の音楽ストリーミングサービスを行っているスポティファイのような企業かもしれません。
スポティファイとフェイスブックが提携してアップル社に対抗!?〜クラウド型音楽サービスの近未来は? - コンテンツとメディアの近未来 :

またアップルはすでにアップル・ストアの展開で川下の流通も抑えており、そこまで垂直統合しなければ、アップルのように利益を稼ぎ出すことは容易ではありません。

理由その2は、ブランドの問題です。

つぎにブランドの問題です。グーグルはオープンシステムであるために、ブランドが分散してしまうだけでなく、パートナーの製品やサービスの質によってブランド体験にどうしてもバラつきがでてしまいます。今後はスマートフォンの価格競争がいちだんと激しくなってくるので、よけいにリスクが高まります。

理由その3は、マーケティング力です。

もうひとつは、グーグルのマーケティング力の弱さです。いまだにグーグルの収益はほとんどが広告収入です。グーグルには、検索ビジネスやクラウドのビジネス以外では、マーケティングの経験もなく、また技術ももっていません。だから、買収したモトローラマーケティング力に依存することになります。モトローラの業績を回復させるためのマーケティング費用をグーグルがつぎこむことができるかどうかです。

この3つの理由から分かるのは、エントリの著者は、Googleが携帯電話を製造・販売するというノキアやサムソンのような従来型のビジネスを展開することを前提としていることです。

 一方、Googleコアコンピタンスは、もちろんクラウドサービスにあります。Googleにとっては、インターネットに接続するユーザ数が増えれば増えるほど、検索やYoutubeを通じて広告収入が得られることになります。ですから、アップルをGoogleのコンペティタと捉えるのではなく、Googleのエコシステムの要素の一つととらえるべきです。
 そう考えると、Googleモトローラを買収した理由は、アップルはGoogleのエコシステムを拡大するための要素として小さすぎると、Googleが判断したためと感じます。すると、Googleは買収したモトローラを使って何をしかけてくるでしょうか?いくつかのシナリオが考えられます。

  • Chrome Mobile phone: PCと同じようにChromeOSを載せた携帯電話を出してくるのは、考えやすいシナリオです。売り先は新興国になるでしょう。
  • お財布携帯: 決済機能付き携帯電話を売り出し、これにクラウドサービスを連携させることにより、ターゲット広告収入を狙うというのも考えやすい。これも新興国向けのサービスになるでしょう。例えば、インドネシアではクレジットカードの保有率は極めて低いため、クラウドサービスのマネタイズやネットショッピングが非常に難しい状態です。もし、NFCや電話料金と一括した課金サービスを立ち上げることができれば、新興国でのネットサービスのビジネスモデルを確立することができます。
  • メディアハブ: 携帯電話を、PCやスマートTVと連携するためのメディアハブとしての機能を担わせ、ユーザ履歴をクラウドに吸い上げる。
  • パーソナライズ: 携帯電話はPCと異なり極めて個人に張り付いたデバイスである。そのため、携帯電話を通じてGoogleにアクセスさせれば、極めて個人の匂いのする履歴を取得し、ターゲッティング広告に生かすことが可能である。
  • Facebook:Google+を携帯電話を使って一気に普及させ、Facebookへ流れたトラヒックを変える。それは、Facebookトラヒックを奪うではなく、FacebookGoogleのエコシステムの要素の一つとして取り込むように変えるのが理想である。

このように、色々なストーリが考えられる。今までのGoogleの動きから推測すれば、既存のビジネスモデルで戦う筈がなく、新しいビジネスモデルを作るか、あるいは検索・地図・Youtubeと絡めたGoogleビジネスモデルを強化する展開が有力だと私は考えます。

みなさんは、どう予想します?

*1:この種の議論は、未来予測のため、どれが正しいということは決められない。反論を通して、未来予測のシナリオを増やすことが目的です。