kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



TPPの農業議論で見落とされている論点

はじめに

 APECにて野田総理がTPP参加の意思を表明する予定だ。ものすごく簡単に言うと、TPPとは、関税をかけるのをやめましょうという条約を結ぶことである。このTPP参加の是非に関連する否定的な意見のほとんどは、日本の農業と医療関係である。今回は農業について考えてみる。

農業を巡る議論のまとめ

TPP参加反対の理由として挙げられるものは、

  1. 安い外国産農作物が入ってくれば、日本の農業が成り立たなくなる。
  2. 日本の食の安全が守れなくなる
  3. 戦争が起こった際に、食料を輸入できなくなる可能背があり、国家安全保障の脆弱性となる

だと思います。

これらの点に対する反論は次のようなものです。

1 日本の農業が成り立たなくなる 食料品が値下がりして消費者の利益になる
2 日本の食の安全が守れなくなる 検疫の強化で安全を守ることができる
3 国家安全保障の脆弱性となる 戦時は石油の輸入が止まることを考えれば、食料に関する国家安全保障の問題は小さい問題である

農業の将来が見落とされている

 これらの論点に関する私の意見はここでは述べない。一方で、議論できていないと思うのは、長期的に日本の農業をどうするかという点である。仮に今回はTPPに参加しないとして、日本の農業はずっとこのままでよいか? という議論が抜けている。つまり、

  • 日本の消費者は、このまま食料品が高い状態をずっと我慢すべきか?(あるいは、農家を守るために国民は税金を払うべきか?)
  • 日本の農家は、各自の農作物を、味・品質・安全性・価格のどの点で外国製の農作物と戦うつもりなのか?(あるいは未来永劫負けたままでいるつもりなのか?)
  • 日本の農家は、各自の農作物を、海外に売るつもりはないのか?

これらの議論が抜けてしまうのは、農業は現状維持で良い(あるいは、変化したくない)という前提がある気がする。

まとめ

 日本は、国内に資源が乏しく、また少子高齢化によって国内のマーケットは縮小している。このため、長期的には貿易の自由化を進めざるを得ない。長期的には関税撤廃となることを前提に、日本の農業も考える必要がある。日本の農業関係者はTPPに反対するならば、いつならば関税を撤廃しても構わないのか? 例えば10年後の関税撤廃にむけて、自分たちをどう変えるのか考える必要がある。一方、消費者は、関税が撤廃された際に、日本の農業を守るためにいくらのコスト(価格であれ税金であれ)を払うのか考えることが必要に思う。