マイクロフォーサーズに代表されるミラーレス一眼は、ミラーを省くことでカメラの小型化を実現している。マイクロフォーサーズでは、カメラの小型化を追求するため、撮像素子のサイズをAPS-Cサイズではなくフォーサーズのサイズにしている。
一般に撮像素子のサイズは、描写力に影響する。そこで、ソニーはAPS-Cサイズのミラーレス一眼であるNEXシリーズを発売した。これは小型なカメラは欲しいが描写力に妥協したくないユーザに受け、大いに売れた。ソニーに追随するのが富士フィルムで、同じくAPS-Cサイズの撮像素子を持つミラーレス一眼X-Pro1を発表した。
一方、PENTAXは撮像素子のサイズが1/2.3というコンパクトデジカメ並みのPentax Qを発売した。Pentax Qは撮像素子のサイズを犠牲にしたが驚くほど小さなカメラサイズを実現したが、その価格の高さ故に一部のユーザにしかウケていないようである。
その後、ニコンがニコン1を発売する。これは、撮像素子がマイクロフォーサーズとPentax Qの間の大きさでありながら、カメラ本体はマイクロフォーサーズよりも大きいというカメラであったが、抜群のAF速度と価格の安さゆえに大いに受けた。ニコンの戦略のうまいところは、ニコン1マウントは撮像素子の大きさに対して自由度を持っていることである。例えば、ニコンのデジタル一眼レフのFマウントは撮像素子がAPS-CのDXフォーマットでもフルサイズのFXフォーマットでも使用可能である。それと同じようにニコン1フォーマットは撮像素子の大きさに対して自由度を有しており、ニコンはV1/J1よりも大きな撮像素子を有するニコン1フォーマットのカメラの発売を否定していない。
まとめ
デジタル一眼レフよりも小型化ができるという利点を武器に開発されたミラーレス一眼であるが、撮像素子の大きさで妥協したマイクロフォーサーズは、APS-Cサイズの撮像素子を有するソニーNEXシリーズに対して苦戦している。今後富士フィルムが同じくAPS-CサイズのX-Pro1を投入することからマイクロフォーサーズは一層苦戦することが予想される。一方、ニコン1 V1/J1のように小型化以外の評価軸もあるため、巻き返しも可能である。
追記
2012年2月29日
日経エレクトロニクス(2012.2.20)がミラーレス特集を載せています。これまでの経緯について良くまとまっていると思います。この中でリコーの湯浅氏が本質的なことを言っています(ミラーレス騒動)。注目です。