kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



博士の就職

 学生の就職面接に出ることがあります。最近、博士課程の方と面接する機会も増えてきています(博士課程の方の面接応募者が多い)。そんな中で違和感を感じるようになってきたため、今日はそのことについて書いてみます。

 違和感とはズバリ、”博士課程の方の専門性に凄さがない”ことです。私が博士課程の方と面接するときは、”すごい人”かなっと期待します。専門性の広さと深さで圧倒してくれることを期待します。しかし、博士課程に進んで、各自の専門性を磨いてきた筈なのに、凄さが無いとはどういうことでしょうか。

 専門性の凄さは、専門性の広さと深さで測れると思います。専門性の広さとは、各自の得意な領域の広さですが、就職に関して言えばその領域が儲けにつながるものかどうかが大切です。例えば、専門領域がユビキタスだとすると、今のIT企業でユビキタスを求めるところは無いでしょう。ユビキタスは少し前の流行のテーマでした。ユビキタス社会の実現に向けて様々な研究がなされ、多数の論文が書かれました。しかし、ユビキタス社会は来ませんでした。IT業界においてテーマの移り変わりは速いため、時代遅れのテーマを専門領域と主張するのは、就職においては意味がありません。

 専門性の深さとは、同レベルに詳しい人がどれくらい少ないか、その希少性で測れます。ユビキタスのような流行った後のテーマに詳しい人は、たくさんいます。今や博士課程の方の人数は非常に多いのです。流行のテーマに取り組む人もそれに応じて多いのです。もう一度言います。専門性の深さは、その人の希少性で測るのです。他の博士課程の方と比べて抜きんでた知識レベルがなければ、就職では専門性が深いとは思われません。

 IT業界では、現在、ビッグデータブームです。twitterfacebookのデータを解析して何かをみつける検討や、自然言語で書かれた文章を解析するためにオントロジーの辞書を作ってなど、派生する研究テーマが目白押しです。また、ストリームコンピューティングも流行っていますね。さらに、スマートフォン絡みの研究テーマも激増しています。

まとめ

 博士課程の方は、就職の際のライバルは、同じ博士課程の人間であることを頭に入れておくとよい。同じ博士課程の人間とその専門性の凄さを、就職では競うことになる。IT業界では、研究テーマに流行廃りがあり、その移り変わりは速い。流行のテーマには同じテーマに取り組むライバルは多く、また時代遅れのテーマに詳しくても就職には通じない。

 ブームはいつか去ります。時代を超える普遍性を有しない研究テーマを選択するのは大変危険です。就職面接をしていてそう感じます。