少し古い話ですが、「北の衛星発射で多忙な軍事評論家」という記事に印象深い部分がありました。
都合のいいコメントを探すTV局
今のこの時期、北朝鮮の弾道ミサイル発射と大軍事パレード実施で、毎日、毎時間、マスコミ各社から電話がかかってくる。その中には、事件や事故に慣れたベテランから、まだ湯気が立っている新人の記者がいる。
しかし、どのような記者でも、気を抜いて対応することはできない。何しろ記者の背後には数百万人の視聴者や読者が見つめているからだ。
「神浦さん、北朝鮮のミサイルが打ち上げに失敗して、沖縄に落下すれば、大変な被害が出るという話しをしてくれませんか」と在京キー局のTV記者から電話がきた。言葉使いから明らかに、頭から湯気が出ている新人記者の様である。
それから約30分間、この新人記者に宇宙から大気圏内に再突入した北のミサイルは、空気との摩擦熱で大部分は燃え尽きると説明した。偶然にも残った破片で海上(地上)に落下するのはごく僅かだと。
「だったら、だれか市街地に墜落するという説明ができる人を紹介してください」と言う。そんな時、この30分間が無駄な時間だったと自覚する。絶句。
しかし最近は、この種の記者が多いのである。私に散々説明させておいて、「今回のお話しでは当方の趣旨と違うようなので、次回によろしくお願いします」と宣言して電話を切る強者もいる。もちろん謝礼やギャラは一切なし。私は相手の意に沿わない無駄な話しをした迷惑な軍事評論家となる。
そんな時「お前には真実を追究するジャーナリスト魂はないのか」と叫びたくなる。
要するに、記者が視聴者ウケのするシナリオ(この場合は)を予め描いて、それに賛同するコメントを探した取材をする、という体験をして、次のように叫びたくなったという話です。
そんな時「お前には真実を追究するジャーナリスト魂はないのか」と叫びたくなる。
大阪の橋本市長の所にも、この手の(事実関係を確認せず視聴者ウケするシナリオを描いて、そのシナリオを飾るためのコメントを取材する)記者が来ているようです。橋本市長はこれに対して、しっかり勉強するよう言っています。
Youtubeに取材の様子がアップされており、橋本市長の情報を透明にする姿勢には感心します。(要するに、「かかってこい」と言っているのだと思います。)