『「10億円の報酬をどう考えますか」=カルロス・ゴーン氏への質問から―適切な人の価値…もやもや感は消えそうにない』
この記事は、高額報酬をCEOが得ることに対するもやもや感を述べている。
報酬格差をめぐる「もやもや感」は、しばらく私の中で消えることがなさそうだ。そして多くの人が、日本で、そして世界で考え続ける問題になるだろう。
このもやもや感の正体を明快に説明しているのが、『「それをお金で買いますか」‐市場主義の限界』である。著者は、NHK『ハーバード白熱教室』やベストセラー『これからの「正義」の話をしよう 』で旋風を巻き起こしたマイケル・サンデル。
市場原理主義者は、すべてはお金を介して交換可能であり、その価値は需要と供給の関係で決まる、と考える。売りたい人がいて、買いたい人がいるとき、それをお金で売買することは当然と考える。これに対して、本書は、「公正の議論」と「腐敗の議論」という新たな観点を提案する。
「公正の議論」とは、人々が不平等な条件下で何かを売買する際に生じる不正義に関する議論である。例えば、貧困にあえぐ人が腎臓などの臓器を売ることは、自由意思による売買と言えるだろうか?
「腐敗の議論」とは、それが道徳的に正しいかに関する議論である。例えば、自由意思による売春は許されるのか?
この二つの議論を通して、上述した高額報酬を得るCEOに対するもやもや感を眺めると、そのもやもや感がどこからきているのかはっきりする。”CEOが従業員と比べて桁違いに高い報酬を得ることは「公正」だと思えない”、これがもやもや感の正体である。
本書のおかげで、もやもやの正体がわかりスッキリした。
- 作者: マイケル・サンデル,Michael J. Sandel,鬼澤忍
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これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
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