学校の世界史の授業は暗記ばかりでつまらなかった。なぜ、こんな年号を覚える必要があるのかわからないまま試験対策として丸暗記した。そんな人の中には、外国のことには興味があるけど暗記は嫌いという人も多いのではないだろうか。
ウィリアム・マクニールの「世界史」は、物語として世界史を楽しませてくれる本である。本書は、序文にて、世界の変化を生じさせた出来事に焦点を当てて記述を行うと、書いてある通り、世界の出来事そのものよりもその出来事の意味(それが何をもたらしたか)について詳しく述べている。
例えば、都市国家(例えばローマ帝国)は、なぜ中央集権国家に変化していったのかをすっきりわからせてくれる。また、コロンブスのアメリカ大陸発見が、アメリカ産のトウモロコシを世界に広めることにつながり、トウモロコシという頑健な穀物がアフリカ大陸の植民地支配に大いに役に立ったことも解説している。あるいは、イスラム教の抱える矛盾について触れており、現在の世界のテロ活動についても想いを馳せることが可能となる。
このような解説を読むと、歴史は偶然とそれによって生じる必然の連鎖によって織り上げられたということがよく分かる。この歴史の道筋は論理として説明されているので、暗記不要で楽しめる。
どうして、このような歴史の教え方を学校ではしないのだろうか?
- 作者: ウィリアム・H.マクニール,William H. McNeill,増田義郎,佐々木昭夫
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2008/01/25
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