kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



キヤノンの苦戦

 カメラメーカ各社の戦略をみると、大きくは(1)コンパクトデジタルカメラにおける低下価格機と便利機能器(GPS, WiFi,Android等)と高級機(GRD,RX100,XZ-2等)の三極化、(2)ミラーレス機の投入、(3)主力デジタル一眼レフのフルサイズ機へのシフト(D600,α99,EOS 6D等)が挙げられる。
 この中で、(2)のミラーレス機においてキヤノンニコンが全く異なる戦略を採っており興味深い。ニコンは、ミラーレス機においては一眼レフとの差別化を図り、キヤノン一眼レフカメラへユーザを誘導する足掛かりとしてミラーレス機を位置づけた。ニコンの戦略は、小型・軽快・低価格のミラーレス機J1/V1,J2/V2として具現化し、一応の成功をみせたように思える。これに対して、キヤノンのミラーレス機EOS-Mはその戦略の難しさから若干低迷しているように思える。
 キヤノンのミラーレス機戦略の難しさは、自社カメラとの差別化に起因する。自社カメラとの差別化について説明する。キヤノンは既にコンパクトデジタルカメラPowerShot G1 Xという1.5型という大型撮像素子のカメラを発売しており、これと差別化するにはミラーレス機はAPS-Cの撮像素子を積むしかない。一方で、ドル箱のEOS Kissシリーズとの差別化を図るためには、レンズで差をつける必要が生じ、ニコンのように矢継ぎ早にミラーレス機用のレンズを準備することはできない。さもないとEOS-MにEOS Kissが喰われてしまう(カニバリゼーション)。このようにキヤノンのカメラ製品ラインナップの中での位置づけを探った結果誕生したミラーレス機の仕様がEOS-Mのようになったと私は推測している。しかしその結果出来上がったEOS-Mは、他社のミラーレス機と比較すると、μフォサーズ機のように小さいわけではなく、APS-Cを積んだソニーNEXシリーズと比べると画質が勝っているわけでもなく、平凡なカメラに見えてしまう。
 コンパクトデジタルカメラデジタルカメラの間のセグメントは、高級コンデジ・ミラーレス機・低下価格デジタル一眼レフが存在し、そのそれぞれに対してキヤノンはG1X・EOS-M・Kiss X50と製品を投入しているが、いまひとつヒットを打てていない。技術力は素晴らしいことを思うと、つくづく商品企画というのは難しいのだと感じる。