カメラショーCP+ 2013のリコーブースで、「GRDの新機種は出さないのですか?」と聞いたら、「ご期待に添えると思いますよ」とうれしいことを言ってもらいました。噂では、次のGRDはAPS-Cの大型撮像素子を積むとか言われているようです。その真偽はともかく、GRDユーザの一人として次機種の予想をするのは楽しいそうです。そこで、次期GRDの製品企画を勝手にやってみます。
GRDのコンセプト
リコーはGRDのコンセプトをとても大切にしています。このブレないコンセプトこそが、様々な機種がひしめくデジタルカメラ業界の中でGRDをユニークな存在にしています。そのため、次機種もこのGRDのコンセプトを変えてこないと思います。
GRDのコンセプトを次のように定めているようです*1。
- 高画質と携帯性を高い次元で両立させた撮影するための道具
このコンセプトをブレークダウンして、次の項目を伸ばそうとしています。
- 携帯性
- 高画質
- 高速なAF
- 自分の意思を伝えられる操作性
インタビュー:リコーに聞く「GR DIGITAL IV」の進化より
ユーザの要望
GRDのコンセプトを変えないとすると、これまでのGRDでユーザの不満な点を改善するというのが、GRD Vの方向性でしょう。1ユーザとして、GRDの要望をまとめてみます。
- 携帯性
- 格段不満はありません。
- 高画質
- 高感度での画質向上(特にノイズ量)
- 手ブレ補正の強化
- 低感度を含めて解像度の向上
- 高速なAF
- もっともっとAFの高速化
- 連射速度向上とそれに追従するAF速度
- 操作性
- 電源ONからの高速起動
- ズームレンズ搭載
- 構図の決めやすさ
新機能予測
上のことから、勝手に新機能を予測すると
新しい撮像素子搭載
今のGRD4の撮像素子は、2009年8月発売のGRD3から変わっておらず、4年近く前のものです。今ではもっと性能の良い撮像素子も手に入りますので、撮像素子を好感してくるでしょう。
撮像素子のサイズはユーザとしてはどんな大きさでも良いのですが、噂のようにAPS-Cサイズを載せてきたらどうなるだろうと楽しみです。ただし今のGRDの大きさのボディにAPS-Cサイズの撮像素子を載せるのはかなり大変です。シグマDP1 MerrillやソニーのNEX-5RLの大きさを見ていると、ボディには入りそうですが、レンズ設計が難しそうです。収差補正を電子的に行うといった割り切りがないと、今の大きさには収まらないかもしれません。
ただし、フィルムカメラ時代のGRは35mm(フルサイズ、つまりAPS-Cの倍のサイズ)に対応していたわけですから、作って作れないわけではないと思います(デジタルの撮像素子は斜め入射の光は苦手など様々なネガティブ要因はあると思いますが)
像面位相差AF
AFを速くするために、GRD4はアクティブ測距を行っています。アクティブ測距の場合どうしても、被写体の置かれた環境が複雑な形状の場合には対応しきれません。今以上のAF速度を得るには、像面位相差AFとコントラストAFのハイブリッド方式が有力でしょう。
AF速度を決めるもう一つの要因は、レンズの質量です。AF機構は物理的にレンズを移動させるため、レンズは軽いほどAF速度は高速になります。一方、上で見たように撮像素子を大きくするとレンズ径も大きくなり質量も増すため、AFとしては不利になります。
レンズ設計において、ピント合わせ機構をインナーフォーカス/リアフォーカスにすると、ピント合わせの際に移動させるレンズの数が減ってAF速度には有利になる。一方で、インナーフォーカス/リアフォーカスではレンズの描写性能としては不利になるため、リコーがインナーフォーカス/リアフォーカスを選択するのか、それとも全群繰出しを選択するのか興味のあるところです(関連エントリの「エンジニアの嗜み」の記事によれば、リコーから全群繰出しの特許は出ているようですが、、)。
まとめ
勝手にGRD Vの新機能を予測すると、新しい撮像素子の搭載と像面位相差AFの採用になると思います。この予測が当たる保証は全くありませんが、自分がリコーの商品企画担当になったつもりで、GRD Vを検討してみるのも楽しいものです。
関連エントリ
追記
2013年3月6日
ニコンがAPS-Cサイズの撮像素子を搭載したコンパクトデジタルカメラ(COOLPIX A)を発表しました。次期GR Digitalがこれに対してどういうポジションで対抗するのか楽しみです。
2013年4月17日
ついにGR Digital Vが発表されました。噂通り、APS-Cサイズの撮像素子を搭載しています。また、カメラサイズは数ミリ大きくなった程度で、余裕でポケットに入るサイズです。詳しくは、「GR Digital Vにワクワクしてる」に記しています。