kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



不格好経営

 「不格好経営」(南場智子著)は、DeNAを立ち上げた経営者の奮闘記である。この奮闘記には、経営者が遭遇する普遍的なことが分かる。

 コンサルタントとして事業リーダーに経営アドバイスをしていた著者が、自分が経営者になったときに苦労したこととして、次のように述べている。

 何に苦労したか。まず、物事を提案する立場から決める立場への転換に苦労した。コンサルタントとして、A案にするべきです、と言うのは慣れているのに、Aにします、となるととんでもない勇気が必要になる。

提案することと決めることの違いがあり、決めることは非常に難しいことが分かる。だからこそ、決めない会議が多くなるし、判断が先延ばしになって宿題が出ることが多いのだ。

 この「決める」ことは重要だが、「決める」ための情報収集に限界があるというジレンマが現実には存在する。

 また、不完全な情報に基づく迅速な意思決定が、充実した情報に基づくゆっくりとした意思決定に数段勝ることも身をもって学んだ。
(中略)
事業をする立場になって痛感したのは、実際に実行する前に集めた情報など、たかが知れているということだ。本当に重要な情報は、当事者となって初めて手に入る。だから、やりはじめる前にねちねちと情報の精度を上げるのは、あるレベルを超えると圧倒的に無意味となる。それでタイミングを逃してしまったら本末転倒、大罪だ。

 それゆえ、リーダーの決定には本質的に不確定要素を多く含むものとなる。そのため、リーダーは自身の決定事項を部下に伝える際の態度として、自信満々に話すこととなる。

 決定したプランを実行チーム全員に話すときは、これしかない、いける、という信念を前面に出したほうがよい。本当は迷いだらけだし、そしてとても怖い。でもそれを見せないほうが成功確率は格段に上がる。
(中略)
迷いのないチームは迷いのあるチームよりも突破力がはるかに強いという常識的なことなのだ

 リーダーは自信満々に話すことで、チームがその案に自信を持つということだ。こういう背景があるので、企業が不正に走るときなどもリーダーの一声でチームが不正に走っていく。ある種の思考停止をチームに強いることが、良い方向にも悪い方向にも働くということだ。

まとめ

 リーダの役割は、「決める」ことと、部下を動かすことである。これにはある種の思考停止を部下に要求する。部下としても、これを分かってリーダーと付き合っていく必要があるのではないかと思うようになった。