kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



新しい働き方:給与とフレキシビリティの交換

 「新しい働き方」(本田直之著)で述べられていることは、

  • これまで(の古い働き方で)は働き方で管理されてきた。これに対してこれから(の新しい働き方で)は、成果が管理されるようになり、働き方は管理されない。
  • 現在は、この新しい働き方を取り入れた会社がいくつか現れている。例えば、パタゴニアIDEO、スタートトゥディ、エバーノート。
  • これらの新しい働き方を取り入れている会社において、高い給料に拘っている会社は少なく、フレキシブルな働き方自身をその会社の魅力と考えている会社が多い。

 これを読んだとき、昔の「成果主義」と「新しい働き化方」の違いが私にはよく分からなかった。しかしよく考えてみると、下の表のように違いをまとめることができることに気付いた。

管理されるもの 成功時の給与 仕事をする時間設定
成果主義 成果 高い 自由度少ない
新しい働き方 成果 高くない 自由度多い

 こうやってみると、「新しい働き方」は一見魅力的に見える。たぶん落とし穴は、成果がでなかったときのことが述べられていないことだ。「成果主義」では、成果が出ないときには給与が下がった。一方、「新しい働き方」では、成果が出ないときにはレイオフされるのかな?

 また、「新しい働き方」をできる職種って限られているように思える。まずデザイナーは、「新しい働き方」が可能であろう。コンサルタントも可能だ。一方、店の店員は無理だろう、「成果」が時間と強く結びついているからだ。同様に、製造業の製造に従事している人も無理だろう。こうしてみると、「新しい働き方」ができる人というのは限られいる印象を受ける。

 一方、「新しい働き方」が「成果主義」と比べて魅力的な点は、厳密な成果評価が不要である可能性のあることだ。「成果主義」の欠点は、

客観性のない基準
成果は、売り上げ以外だと「品質向上の度合い」や「社員の技術力」など数値で表すことができず、客観性を見い出せないものも多い。査定者が人間である以上、査定者の基準次第で貢献量に対して成果が食い違うといったことになりがちである。
(中略)
挑戦意欲の低下
売り上げや品質が下がれば「成果が下がった」と見なされやすい。そのため、「売れるかわからない=査定が下がる」リスクが大きくなる新規の商品や意欲的な商品、そして冒険的な商品には誰も担当したがらなくなり、「安定して高い売り上げが期待できる=査定が上がりやすい」人気商品や定番商品だけにしか人材が集まらなくなる。さらに、それでも挑戦したい者がいても、巻き添えで査定を下げられたくない雰囲気になるため反対意見が続出し、失敗するリスクが高いと考えられる商品は企画が通りにくくなる。そのため、製品ラインナップには人気・定番商品のみが並ぶようになり革新的な商品・技術が生まれにくくなってしまう。

短期的な目線・結果だけの追求
将来性といった長期的な貢献や、意欲や途中の過程(プロセス)はほとんど評価されない。そのため、後につながる商品や技術を開発したとしても目標が達成できなかったり、売り上げが低かった場合は評価が上がりにくい。そのため自主目標を設定できても短期的なものかつ達成しやすい内容になってしまう(目標を達成しても、それに対する手当や報酬が支給されるとは限らない)。

横のつながりの希薄化
他人あるいは他部署に技術を教えるということは、すなわち相手に成果を上げさせ、自分が蹴落とされることになる可能性がある。そのため部署間はもちろん、制度によっては先輩・後輩間でも技術の継承が希薄になってしまう。また他部署が優秀な技術を持っているのにそれが使えない・使いたくないという事態につながり、効率や品質が悪化してしまう。

(wikipedia:成果主義より)

これに対して「新しい働き方」では、個人の評価を厳密に個人の成果で行う必要は無い。会社全体の業績が良ければ、個人の評価を行う必要すらない(昔の日本の「年功序列」に近い評価システム)。このため、会社の業績の良い間は、「成果主義」の欠点が現れない。ただし、会社の業績が下がったときのシステムが不明であるため、「新しい働き方」が定着するかどうかは私には不明だ。

あたらしい働き方

あたらしい働き方