「私たちがネットで失ったもの/YouTuberが必要とされるわけ」(デマこい!)を、面白く読んだ。色々なことが書いてあるが、私が注目するのは以下の問い。
日本では消費者の嗜好が画一化しているのだろうか。それとも多様化しているのだろうか。
論点を整理しよう。消費者を、いち早く新しいものを試す人々(イノベーター)と、流行のものに乗っかる人々(マジョリティ)に分け、このそれぞれに対して考えてみる。
まず、いち早く新しいものを試す人々(イノベーター)は、インターネットの登場により、その数を減らした、と言っている。その理由として、ネットの評価を気にする人が増えていると、言っている。この理由が正しいかどうかは、バックデータがないので、私には判断できない。しかし、インターネットによる情報の即時性が、イノベーターを減らすという考察に、直感的には私は賛成である。
次に、流行に乗っかる人々(マジョリティ)は、多様化している、と言っている。その理由として、マスマーケティングが効きにくくなっているという、伝聞を挙げている。マスマーケティングが効かないことと、マジョリティの多様化との関係は私には同意できない。しかし、成熟社会は消費者の好みが多様化するものだから、インターネットとは関係なく消費者は多様化しているのだろう。
この記事の面白いところは、次の二つの問いを想起させることだ。
- イノベーターが数を減らしたとして、イノベーターはそもそも多様性があったのか? あったとして、イノベーターの多様性は減ったのか?それとも増えたのか?
- マジョリティが多様性を増したとして、インターネットは多様性増加にポジティブな影響を与えたのか、それともネガティブな影響を与えたのか?
経済学部の大学生、大学院生の方は、論文のテーマに考えてみてはいかがでしょうか?