kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



バターが足りない その本当の理由

 バターが品薄です(例えば「バター品薄 慢性化の懸念」(読売オンライン))。スーパーに行っても品切れ。値段も高い。
 この件に関して、農林水産省のQ&Aのページが面白い。

Q 1. なぜバターが不足したのですか。

A1. 平成25年の猛暑の影響で乳牛に乳房炎等が多く発生したことや、酪農家の離農等で乳牛頭数が減少していることなどにより、生乳(=搾ったままの牛の乳)の生産量が減少したため、バターの生産量が減少し在庫量が大きく減少しました。

バターの在庫量が減少したため、乳業メーカー等は、安定的な供給を続けられるような出荷量に抑制したことや、供給不安等を背景として家庭用バターを中心に購入量が増加したこと(PDF:248KB)等から、店頭のバターが品薄になったものと考えられます。

 一見正しいことが書いてあるように見えます。しかし、重要なことが隠されています。つまり、「なぜバターを輸入しないのですか?」という質問は、このQ&Aには無いのです。
 バターを、国内で十分生産できないのであれば、輸入すれば良い。普通は、こう思うでしょう。
しかし、バターの輸入に前向きでない理由について誰も語りません。なぜでしょう?
 日経新聞 (2015年6月10日)の記事「賞味期限切れの貿易規制 --- バター品薄で菓子店、調達に苦慮 原料不足が慢性化・外国品高止まり」に理由が書いてありました。

国産がなければ輸入するしかないが、国は国家貿易の対象として規制している。1993年のガット・ウルグアイラウンド貿易交渉で、日本は統制を守る代わりに最低輸入量の受け入れで妥結した。当時は国産バターが余り、現在とは逆に生乳を減産していた。

 20年余りが経過し国内酪農が衰退した今は、需給環境が大きく異なる。

 バターの輸入には1キロあたり千円弱に加え、約30%の高関税がかかる。関税を引き下げれば、需給に基づき民間が輸入しやすくなるが、政府はこれまでの枠組みを守り続ける。国内の酪農を守るというのが理由だが、こうした貿易規制にもかかわらず国内の酪農は衰退が続いている。

 何てことだ!酪農農家を守る為、国はバターの輸入を制限しています。だから、バターが足りなくても輸入が難しい、ということなのです。
 こういうのを知ると、関税を無くそうというTPPの動きがまともに見えてきます。