kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



貧困の悪循環を断ち切る

2007年の東京大学の学生調査によると、東京大学生の親の年収950万円以上の割合は52.3%を占めている。

wikipedia:貧困の悪循環より

 政治家(特に野党)が、経済格差の拡大の問題を、声に大にして訴えていた時期がありました。そのときに良く引用されたのが上の調査結果です。この調査結果をもとに、貧困世帯には金銭的な補助が必要だと訴えていました。
 これっておかしいんです。
 次の調査結果を見て下さい。

 約7000人の現役東大生を取りまとめ、家庭教師紹介事業を展開する、東大家庭教師友の会による1冊の本があります。タイトルは『頭のいい子が育つ習い事』(角川書店)。現役東大生に習い事について聞いたアンケートやヒアリング調査をまとめたこの本に、ある驚くべきデータが紹介されていました。それが「東大生の2人に1人はピアノを習っていた」というものです。

東大生の2人に1人は「ピアノ」を習っていた!」(日経DUALより)
 この調査結果は、ピアノを習えば東大に入れる、と言っているように見えます。普通の人は、そんな馬鹿な!といって笑い飛ばすでしょう。
 一般に、ピアノを習っていたこととと東大生入学との間に相関関係があるからといっても、ピアノを習うことが東大入学に大きな影響を与えるとは言えません。例えば、教育熱心な親の子供は東大に入学する割合が高く、また教育熱心な親ほど子供にピアノを習わせるということも考えられます。
 ピアノの例と同様に、世帯の収入と東大入学との間に相関関係があるからといって、世帯に金銭的な補助を与えても東大入学するとは限りません。昨日、「貧困対策とは、魚の釣り方を教えること。でも、どうやって教えればいいんだ?」で書いた通り、実際のところ貧困世帯に金銭的な補助をしても、学歴を身につけると言う点では効果は無いようです。
 
 貧困の悪循環を断ち切るというのは、難しいのです。それは、何をすれば良いかが分からないためです。金を出せば済むという簡単な話ではないのです。