kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



わかったつもり~読解力がつかない本当の原因~

「夕鶴」(木下順二著)は、助けられた鶴が“つう”という女になって、助けた男のところにお嫁にきたお話です。“つう”が美しい布を織ったのは、男への恩返しではない。

「わかったつもり~読解力がつかない本当の原因~」(西林克彦著)では、このような例を挙げて、多くの人が“わかったつもり”になってしまう原因を説明している。

「つるの恩返し」という童話を多くの人が知っている。この先入観が邪魔をして、「夕鶴」について“わかったつもり”になってしまう。この先入観を、本書では文脈とスキーマ―という二つに分けて分かりやすく説明している。

人が文章を理解するためには、その文章の文脈を知っている必要がある。そして文脈に関する一連の知識(スキーマ―)を使って、文章を解釈・理解している。ある特定の文脈において、人間は“わかったつもり”になり、文章を読み飛ばしてしまう。そのため、誤解や・理解不足が生じる。

『第5章「わかったつもり」の壊し方』で、著者は、より良く本を読むための方法について述べている。読み手は、その想像・仮定を使って文章の理解を深める。その想像・仮定が文章と整合している限りにおいて、複数の想像・仮定(つまり解釈)が有り得る。そして、より細かな文脈を駆使して想像・仮定を行うことで、深い理解に到達できる。

本を読む本」(J・モーティマー・アドラー著)で、作者と対話するように本を読めと書いてあった。この作者と対話するように本を読むとは、このより細かな文脈を駆使して整合的な想像・仮定を行うことだと、感じる。

わかったつもり?読解力がつかない本当の原因? (光文社新書)

わかったつもり?読解力がつかない本当の原因? (光文社新書)