kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



人に強くなる極意

 「人に強くなる極意」(佐藤優著)は、対人関係における心構えを示す本だ。アドラーの「嫌われる勇気」でも書いている通り、世の中のストレスのほとんどは対人関係に起因する。

 本書では、8つの視点からその心構えを示している。その中の3つについて記す。

怒らない

 他人が怒っている時の対処の仕方は、相手の怒り方を観察して、(1)我を失って感情的に怒っている場合(いわゆるキレている場合)、(2)なんらかの意図があって怒っている場合、を区別せよという。(1)の場合は逃げる。(2)の場合は、その人が怒るパターンをよく観察して、その意図を見抜く。例えば、嘘の報告をした場合には必ず怒るとか、パターンがある筈だ。そのパターンからメッセージを読み取るのだという。
 これを逆に考えると、自分が怒る場合が見えてくる。キレて怒ってはいけない。意図を持って怒る。その際、その意図が通じるように怒る。

びびらない

 営業の場に始まり、世の中には多くの折衝の場がある。折衝において、相手をびびらすのは基本戦略である。「買ってはいけない薬」「ついやってしまう、怖い食生活」のようなTVでよく見るセリフも相手をびびらせようとしている。
 相手にびびらないコツは、相手がどういった意図でそういうことを言っているかをよく分析することだという。人間は理解できないものに不安を感じびびるものだ。それゆえ、相手の意図を理解することで、びびらなくなる。

飾らない

 人と話をしていると、ついイイ格好をしてしまいがちだ。知らないのに知っている振りをしたりする。こういう飾りたい欲求が人にはある。その根底には承認欲求があるのだろう。しかし、飾りたい気持ちが、他人に付け入る隙を与える。
 飾らないためには、シンプルであろうと心がけることがコツだ。損とか得とか考えず、シンプルに行動する。

感想

 一般に、夢や目標を持つことは良いこととされています。しかし、著者はこれに反論します。この部分が面白かった。

 特に近代になり西洋的な思想が広がってからは、社会全体が目的論的になった。資本主義的な経済が確立したことも大きい。つまり、経済的活動でも社会活動でも何かしら目的を定めて、それに向けて頑張るということが善であると。
 これを目的論的な価値観というのですが、企業とかビジネスとかいう概念も根本的には目的論的な価値観に則っています。戦後の親たちの頑張りもそこからきている。
 社会全体が目的論的な価値観で動いているのですから、なんだかんだいっても目標を立ててそれに向かって頑張るという生き方のほうが整合性がある。つまりは「あきらめない力」が必要になるというわけです。
 目的論的な価値観は西洋ではギリシャの昔までさかのぼります。

こうして、目標を持つことは西洋から最近導入された思想であると述べた上で、目標をもつことが執着につながり、あきらめない泥沼にはまると述べます。