「本物の英語力」(鳥飼玖美子、講談社現代新書)は、最新の英語の学習方法を記した本です。
英語を聞き流すだけでどんどん英語力がアップする。そんなことが本当にあるのでしょうか? 英語には、日本人は皆苦労しています。そこで楽して上達したい、という願いを叶える魔法の(そして効果のない)勉強方法が街に溢れています。ダイエット本が街にあふれるのと同じ構造です。
- 作者: 鳥飼玖美子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/02/17
- メディア: 新書
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著者の鳥飼玖美子さんは、NHKのTV英語番組を務めるとともに、大学で英語の学習方法を研究する学者です。英語教育の専門家の中では、どんな勉強方法が真に効果があるのか、この本は教えてくれます。
英語の学習方法の基本原則は二つ。
- ネィティブ・スピーカーを目指すのではなく、自分が主体的に使える英語、「私の英語」を目指す。
- 英語を覚えようとするのではなく、知りたい内容、興味のある内容を英語で学ぶ。
英語を使えるようになるには、度胸も必要ですが、もっと必要なのは「ボキャブラリー」つまり「語彙」です。
中高の6年間で学ぶ語彙は約3000語です。それに対して、仕事で英語を使うには約8000語の語彙が必要です。英語が思うように使えないのは、語彙数が圧倒的に不足しているからです。単語を覚える方法として、単語カードを使うことはあまりお勧めできない。つまらない為です。つまらない勉強方法は続かないのです。お勧めの方法は、英文をたくさん読む、多読です。
英語力をつけるには、会話パターンを暗記しているだけでは効果が薄く、ともかく「読む」ことです。なぜなら、コンテクストの中で生き生きと使われている言葉を学ぶことを可能にしていくれるのは、何と言っても読むことだからです。
英語をスキルとして学ぶよりも、英語で何かを学ぶ、ことが英語の学習の近道と言われています。
映画の好きな人は、映画の批評を英語で読む。料理の好きな人は英語の料理レシピを見ながら料理を作る。こうして、好きなことを英語で学ぶことで、英語も上達させる。こういう勉強法が効果があります。
また、日本では、音読やシャドーイングを英語の勉強方法として進める人が多い。しかし、最新の研究では、音読・シャドーイングの効果は疑わしいようです。