kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



「論理的に考える方法」から学ぶ二つのコツ

 「論理的に考える方法」(小野田博一)は、論的に考えるためにはたった二つの基本を意識すればよいことを、教えてくれます。
 
 この本を知ったのは、wikipediaの「ロジカルシンキング」の説明ページでした。

日常的に使われる「論理的な思考」という表現は、主張に対して妥当な根拠付けがされていることを指す。例えば、『論理的に考える方法』(小野田博一, 日本実業出版社, 1998年)では、日常生活上での「論理的な思考」はリーズニング(reasoning)を意味すると指摘し、さらにreasoningについては理由付けとか推論の構造くらいの意味であるとしている。

wikipedia:ロジカルシンキング

論理的に考えるためには、二つの基本がある。この二つはコツと言い換えてもよい。

  1. 主張があること
  2. その主張を支える根拠があること

たったこの二つである。
 
 しかしながら、日本人にはこれが難しい。特に、一番目の”主張があること”が抜けている場合が多い。
 例えば、日経新聞の社説を見てみよう。「仕事と介護の両立に備えを」というタイトルである。

 介護休業を取得するための基準が、来年1月から新しくなる。今よりも対象となる範囲が広がり、休みが取りやすくなる。

 介護を理由にした離職者は年間約10万人いる。これを減らしていくための大事な一歩だろう。介護で時間的な制約があっても、社員が力を発揮できるよう、企業も備えを急いでほしい。

 厚生労働省の見直し案が、このほど固まった。新しい基準では、介護を必要とする家族が「要介護2以上」なら休めると明記する。要介護1以下であっても、認知症で見守りが必要な場合などは、利用できるようにする。

 現行の休業基準は、介護保険制度が始まる前にできた。「要介護2〜3程度に相当する」とされるが、直接は連動しておらず、分かりにくかった。介護休業が広がらない一因ともなっていた。

 介護の対象者も広がる。別居している祖父母や兄弟姉妹らのためにも休めるようになる。少子化により、介護を担う若い世代は減りつつある。遠距離介護も多い。必要な対策だろう。

 ただ、介護休業は介護が必要な家族1人あたり93日が上限で、期間は短い。あくまで、介護の体制を整えるための準備期間という位置づけだ。実際の介護は長期間に及ぶことも多い。

 仕事と介護の両立のために大事なのは、企業の働き方改革だ。硬直的な長時間労働を見直し、フレックスタイムや在宅勤務といった柔軟な勤務を広げる。やれることは多くある。来年1月には介護のための残業免除制度なども始まる。職場が先駆けて変わることで、制度を使いやすい土壌も整う。

 避けたいのは、社員がひとりで悩みを抱え込むことだ。相談にのる体制を整え、必要な支援につなげる工夫をしたい。

 介護は、いつ誰が当事者になっても不思議ではない。介護保険について基本的な知識を身につけたり、日ごろから親とよく話をしておいたりするなど、社員一人ひとりの備えも大切になる。

日経新聞2016/7/25の社説「仕事と介護の両立に備えを」)

全般的に、「介護休業を取得するための基準が、来年1月から新しくなる。」の「基準」について、解説をしており、主張がない。そのため、これは論理的な文章ではない。

 本書では、このように主張がない、文章をバッサバッサと切っていく。この切っていく例を通して、主張するとはどういうことかを、はっきりさせている。この例の豊富さが、本書の優れいている点である。
 ”小論文”でネットを検索すると、小論文のテンプレート(問題提起、反対意見への理解、自分の意見の提示、理由の説明、結論)に関する情報が得られる。これだけ読むと、小論文を間違える可能性が高い。大切なのは、主張とその根拠を記すことである。あくまで中心はここにあり、文章の量のほとんどは「主張の根拠」に充てられるべきだ(でないと、主張の正当性が示せない)。しかし、テンプレートだけを見てしまうと、文章の量をどこに充てるか、その配分を間違う可能性が高い。なぜなら、「主張の根拠」を示すことは難しいからだ。結果として、「問題提起」、「反対意見への理解」を延々と述べ、「主張」と「主張の根拠」の少ない、薄っぺらな小論文が出てくる。

まとめ

 論理的な文章の中心は、「主張」とその「根拠」である。本書「論理的に考える方法」では、豊富な例を示すことで、これをわからせる本である。

論理的に考える方法―判断力がアップし本質への筋道が読める

論理的に考える方法―判断力がアップし本質への筋道が読める

論理的に考える方法―本質への筋道が読める (光文社知恵の森文庫)

論理的に考える方法―本質への筋道が読める (光文社知恵の森文庫)