kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



繰り返し読んだ本 2016年

 本を2度3度と繰り返して読むことが減った。ネットで情報を得るようになったからだと思う。情報が多すぎて、一つの情報に注ぐ注意力の量が減っている。そんな中でも、繰り返し読んだ本がいくつかある。それらをまとめておこうと思う。

ファスト&スロー


 ノーベル経済学賞を受賞した。ダニエル・カーネマンの研究をまとめた本。ただし、学術的に書かれているわけではなく、素人も楽しく読めるように書かれている。
 経済学では、人間は合理的な判断をする、と考える。ところが実際、人間はとても不合理な判断を行う。大多数の人が同じように謝った判断をすることを、バイアスという。本書は、様々なバイアスを紹介している。
 バイアスを知っていれば、自分が誤った判断をしそうになったときにこれに気づくことができる。また、他人に誤った判断をさせることもできる。
 本書は、単なるノウハウものではなく読み物として面白く描かれている。また、読み返すたびに書かれているバイアスに納得する。

世界史

世界史 上 (中公文庫 マ 10-3)

世界史 上 (中公文庫 マ 10-3)

世界史 下 (中公文庫 マ 10-4)

世界史 下 (中公文庫 マ 10-4)


 シカゴ大学で教授をしていたウィリアム・ハーディー・マクニールの著書。
 これまで、私は、歴史とは勉強するもので、楽しむものではないと思っていた。歴史のイベントを記憶することがもっぱらの作業であるとの印象があった。ところが、本書は、歴史の流れを整理することで、気づきや発見を記しており、歴史の楽しさを教えてくれる。歴史を俯瞰して見る、あるいは歴史の流れを見る視点を示している。
 特に、下巻におけるヨーロッパの産業革命宗教改革以降の記述は興味深い。産業革命により、経済格差が広がったことが巧みに記されている。また、活版印刷の発明により、宗教改革が進んだことがわかる。活版印刷の発明前には、キリスト教では協会が宗教的な知識を独占していたため、キリスト教徒は協会に従わざるを得なかった。活版印刷の発明により宗教的な知識が広がったことにより、宗教改革が可能となった。
 本書を読み返すたびに、世界史への興味が増していく。

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反応しない練習


 中学を中退。16歳で家出。大学検定を経て東京大学入学。卒業後にインドで出家。こんなユニークな経歴の草薙龍瞬の本。
 本書には、心を穏やかにストレスを減らして生きるためのコツが書かれている。
 万事塞翁が馬というように、事実と判断は別のものである。例えば、宝くじで10万円が当たったとしよう。この事実に「ラッキー」と思うか、「たった10万円(がっかり)」と思うかは、人それぞれの判断である。人は、何かに自動的に反応して判断を行っている。この反応がイライラの原因である。
 反応しない練習をすることで、イライラを減らすことができる。これが本書の主張である。反応しないために、まず、自分が自動的に判断を行ったことに気づくことが大切である。例えば、朝の電車が遅れてイライラしたとき、電車は時間通りに来て当然と思っており、遅れるのはけしからんと判断している。そこで、「あ、判断した」と気づくことが大切だ。
 人は、判断を自動的に行っているため、判断したことに気づくことは難しい。本書を繰り返し読むことで、心構えが変わり、判断したことに気づくことが多くなる。

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