kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



働き方改革の目的を深読みする

 働き方改革について、まともな新聞記事を見た。

私見卓見)働き方改革と生産性向上の方程式 レイヤーズ・コンサルティングCEO・公認会計士 杉野尚志

 働き方改革の議論も活発だが、時間外労働の上限規制導入など長時間労働の是正が中心となっている。企業の残業規制ばかり強めて労働時間だけが減ると全体の生産額も減ってしまい、付加価値が生まれなくなってしまう。
 もちろん無駄な残業は減らすべきだが、短時間でいかに付加価値を上げるかという具体的な検討はほとんど行われていないのが現状だ。いまの「働き方改革」は上っ面だけの体裁を整えているように見えてならない。
 多くの企業で働き方改革は人事主導、生産性向上は各職場に任されている。このままでは企業が達成すべき自己資本利益率(ROE)などの中期経営目標の実現は容易ではない。生産性向上と働き方改革連立方程式を解き、具体的活動につなげるべきだ。

(日経新聞朝刊 2017/06/07)

 この記事の優れている点は、みんなが黙している働き方改革の目的について言及している点だ。
 
 政府の働き方改革って、目標は何だっけ?

 改革の目指すところは、働く方一人ひとりが、より良い将来の展望を持ち 得るようにすることである。多様な働き方が可能な中において、自分の未来 を自ら創っていくことができる社会を創る。意欲ある方々に多様なチャンス を生み出す

働き方改革実行計画 http://www.kantei.go.jp/jp/headline/pdf/20170328/01.pdf
これでは、全然分からない。
 
 シンプルに考えよう。会社で働いているとしよう。生産性とは何か? 会社の利益を従業員の労働時間で割ったものだ。労働時間が減って、利益が変わらないとすると、生産性は高まる。でも、そんなこと可能なんだろうか?
 ライバルの会社がいることを忘れてはいけない。労働時間を減らしても利益が変わらないのであれば、労働時間を変えなければ利益は増える(可能性がある)。ライバル会社が利益を増やす戦略に出たときに、自分の会社は利益を増やさない戦略に出る余地はあるのだろうか? 規模の経済からいって、そんな余地はない。
 
 働き方改革とは何を目指しているのだろう?