「読書の技法 -- 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門」
はじめに
知識なしの思考はあり得ない。幅広く深い知識が精緻な思考の大前提だ。
【はてなブログ】多くの若い人より圧倒的に成長速度の速いおっさんと絶望的に遅いおっさんの違い
知識が無いと成長も遅い。スポーツ(例えばサッカー)をずっと極めるみたいなことをするなら別だが、新しいスキル・新しい思考様式・新しいフレームワークを習得する(つまり成長する)には知識が必要だ。
その知識を得る手段は読書が最も効率的だ。ネットではない。読書だ。ネットは知っている分野についてニュースを知るには適している、しかし新しい分野の知識を得ることには適していない(詳しくは、フィルタバブル、サイバーカスケードを検索して欲しい)。
要点
本書の要点は3つ。
一つ目。本によって、その中に含まれる学ぶ量(自分にとって未知の情報・概念の量)が異なることを意識する。
二つ目。その本に含まれる学ぶ量に応じて読み方を変える(熟読するか、普通に速読するか)。そのために、まず超速読(1冊30分)で試し読みをする。
三つ目。難しすぎる本は身に付かない。難しすぎるとはその本を読むための基礎知識が無い本である。数学の知識が不足していて経済の本は理解できない。基礎知識を身に付けるための読書を別途行う。
超速読・速読・熟読
著者は読書を3つの読み方で行っている。
- 超速読:言い換えれば試し読みだ。一冊30分程度で行う。これにより、(1)熟読する必要があるもの、(2)普通の速読で、読書ノートを作成するもの、(3)普通の速読で、読書ノートは作らないもの、(4)超速読だけでよいもの に仕分ける。
- 普通の速読:完璧主義を捨て目的意識をはっきりして読む、何を学びたいか?その目的に関する部分を読む
- 熟読:3度に分けて読む。まず通読し重要と思われる部分をシャーペンで記しを付ける。次に2読目は、記しを付けた部分の中から特に重要な部分を選び囲っていく。最後に3読目は、本の結論を読んでから通読する
読書ノート
重要な部分は読書ノートを作成する。この読書ノートの作り方がユニークだ。
- ノートに重要部分を丸写しする
- その部分に対して自分の意見を書き込む(賛成なのか反対なのか、なぜそう思うのか)
基礎知識を身に付けるために
著者の言う基礎知識は一般にはレベルが高いかもしれない。大学入試のセンター試験で8割の点が取れる知識がその目安だ。
知は基本的に先人の遺産を継承したうえで成り立っている。このことを理解せずに高望みだけして、難しい本を力業で読んでも、知識は全く身に付かない。読んだ本の知識を身に付ける土台として必要になるのが、本書で繰り返し指摘している基礎知識である。
(中略)
そうやって基礎知識を付けたつもりでも読書力が向上しない場合、自分の基礎知識のどこに欠落があるのかをきちんと調べることだ。そのときに重要なのは、高校レベルの知識に関して自分にどのような欠損があるかを客観的に認識することだ。
学校秀才型だったビジネスパーソンほど、自らに高校レベルでの学力の欠損があることを認めたがらない。優等生としての「プライドの檻」から抜け出すことができないため、高校レベルの数学や英語が消化できていないという疑念を持つことを心理的に回避する。
(中略)
大学入試センターの試験問題を一通り解いてみれば、どの辺に知識の欠落があるかがよくわかる。目安として、8割を得点することができれば、当該科目の基礎知識が身に付いていると考えてよい。
まずは高校レベルの知識を基礎知識の基本と考えればよい。
このレベルの基礎力さえあれば、教養書はもとより、標準的な学術書ならば消化できるはずだ。
注意点は、大学入試を受けるわけではないのですべての強化で八割の得点を目指す必要はないことだ。学ぼうとする分野の強化だけで良い。そう考えるとまぁ妥当なレベルだ。
基礎知識を身に付けるためには、意外ないことに学校の教科書と参考書での学習を著者は勧める。やはり教科書は良く出来ているのだ。
まとめ
成長するためには知識が必要だ。知識を身に付けるための読書のスキルを本書は示している。
超速読による多読と熟読による精読、そして新しい知識を吸収するための基礎知識の習得について、詳しく書いている。
読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門
- 作者: 佐藤優
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- 発売日: 2012/07/27
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