日本の労働者の生産性が低いとか、働き方改革とか、効率的にダイエットしたいとか、失敗しない投資だとか、流行りの言葉がある。一言でまとめれば「無駄を省こう」ということだ。
これって正しいのだろうか?無駄を嫌うやつってどこに向かっているんだろうか?
ちょっと考えて欲しい。無駄を省くには、前提がある。それは、その作業をやったことがあるということだ。ルーチンワークとかね。だって、初めての作業や経験に省ける無駄なんて無いでしょう?だって、やったことないんだもの。対策の立てようがない。
初めてやることには無駄は付きものだ。初めての旅行、初めてのデート、初めて行くレストラン、初めての仕事、初めての事業領域への進出。初めてのことは大抵失敗するもんだ。10回やって9回は失敗する。初めて行くレストランは、大抵いまいちだったりする。つまり無駄足を踏むことが多い。
じゃ、初めてのトライが不要かというとそうでもない。だって、同じことばかり繰り返しても、つまらないでしょう?
何が言いたいかっていうと、新しいことをするには無駄が付き物だってこと。無駄足を踏むものだ。それなのに、無駄を嫌うやつらは、無駄足を踏むのも嫌う。同じことを延々繰り返して、最適化を図って無駄を削っていく。何のために?
世の中、繰り返し行うルーティンワークと、新しい試みがある。新しい試みで無駄足を踏むために、ルーティンワークの無駄を削って時間やコストを浮かせる。浮かしたリソースで、新しいことを試す。
この構造を分からずに、無駄を嫌うと、縮小していく。大事なのは、ルーティンワークの無駄を嫌いながら、新しいことを試す無駄足を厭わないことじゃないかと思う。