kotaの雑記帳

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映画『かがみの孤城』の感想(レビュー):願いは悩みの裏返しである

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 映画『かがみの孤城』を観ました。良い意味で予想を裏切られ、想像以上に面白かった。特にストーリーがよく練られています。原作は、辻村深月の同名小説『かがみの孤城』、本作は第15回本屋大賞を受賞していて、さらに売り上げ100万部を超えるベストセラー。

 タイトルもよく練られていて、Wikipediaには以下のように書かれてます

当初は「かがみの城」というタイトルにする予定だったものの、担当編集者が提案した「敵に囲まれて身動きが取れなくなっている城」を意味する「孤城」を名付けたという

作者の辻村深月は、本作が誰かの「城」のような居場所になればいいという思いを込めながら書いたと述べている。

つまり、「孤城」に込めた想いとは、『「敵に囲まれて身動きが取れなくなっている」居場所』ということ。

 

 そして、この物語は、身動きができなくなった子供たちの居場所を舞台に、グリム童話の「狼と7匹の子山羊」を取り込んで進められる。途中までは「赤ずきん」をオマージュしたのかと思わせるところがあり、ストーリーを深くしています。

 

あらすじ

 学校での居場所をなくし部屋に閉じこもっていた中学生のこころは、おとぎ話のようなお城に引き込まれ見ず知らずの中学生6人と出会う。お城には、どんな願いでも叶えてくれる鍵が隠されています。

 7人は、本当に大切な願いがあるのか? その願いは、胸を張って他人に言えるものなのか?願いは、悩みの裏返し。願いが強いほどその裏にある悩みは深く暗い。それ故、7人は互いの願いを打ち明けられない。

 最後に願いをかなえるのは誰か?その願いとは?悩みとは?ここに向かってストーリーは進む。

 

感想

 この映画の良かった点は、

  • こころに対する周囲の理解の浅さと、それによる孤独を端的に表現したシーン。
  • 孤城に集まった7人が、仲良くなるものの隠し事を打ち明けられない微妙な距離感を保っていること。そして、7人は共通点をもつ仲間であるものの鍵を狙うライバルという微妙な関係の設定。(7人が仲良くなっていく様子に不自然さを感じるよう表現されています。仲が良くなっているのに自己開示が殆どしない7人の関係は不自然で危うい関係とイメージを発しています)
  • 孤城にずっとい続けることはできないという時間設定がある点の絶妙さ(これがストーリーに効いてきます)

 

 

まとめ

 映画『かがみの孤城』を観た。

 ストーリーがよく練られていて面白い。取り入れられているオマージュ、ストーリ展開のキーとなるシーンがこっそり忍ばせている点、ストーリーがどう進んでも不自然にならない微妙な設定。

 子供が見ると、単なるファンタージー映画で終わってしまうかもしれない。一方で、背景知識とストーリーの深読みをすると、とても面白い映画。

 映画を観終わってからストーリーを反芻していると、多くの発見のある映画でした。