内容概略
- バラの秋管理において、なるべく多くの葉をつけておき、自然落葉させることが大切。なぜなら
- 植物は、落葉時に葉のなかにある「可動性栄養素」(窒素やマグネシウム、リンなど)を幹や根に再移動(再吸収)させる。
- バラなどの落葉樹は、春の芽吹きのために幹や根に蓄えた栄養を使う。そのため、落葉樹にとって、晩秋における葉からの栄養素吸収は非常に大切。
- 秋の黒星病予防は、来春の力強い芽吹きにおいて、とても大切。
- 冬の休眠期に落葉しない葉を手でむしり取るのは、控えたほうが良い。
落葉樹の春の芽吹きが力強い理由
春、桜の花が一斉に咲き、一面ピンク色に染まります。やがて葉が吹き葉桜となります。こんな風景を見るたびに、葉が無く光合成できないのに多くの花を咲かせるのは、さぞや大変だろうと私は思っています。
実は、植物は良くできていて、落ちる前の葉から栄養素(「可動性栄養素」(窒素やマグネシウム、リンなど))を吸収しています。クロロフィル(葉緑素)なども分解して可動性栄養素の形にして吸収します。そして、吸収が終わると、剥離層を形成して葉を落とします。
こうして、葉の栄養すら吸収し幹に蓄えて、落葉樹は春の芽吹きに備えています。
バラの秋管理で大切なこと
バラも落葉樹ですから、落葉期には、たくさん葉をつけておくことと、自然落葉させることが大切です。これが、春の力強い芽吹きにつながります。
そのためには、秋に黒星病などで葉を落とさないことが重要となります。また、冬剪定の前に葉をむしり取ることを勧める動画もありますが、それでは葉の栄養をバラは回収できません。自然に落葉するのを待つのが良いでしょう。
参考資料
- 樹木の1年を半年で~落葉木本植物におけるリン転流の研究~実験室内で樹木の四季応答を再現する(栗田悠子(龍谷大学)、他)
- 葉のフェノロジーと養分動態からみた常緑広葉樹稚樹の養分利用特性に関する研究(水崎大二郎、千葉大学 学位論文)