「意思決定入門」(中島一)を読んだ。そのタイトル通り意思決定のための定石を丁寧に書いた本である。そもそも意思決定とは、インサイドの欲求(自己実現への創造心)とアウトサイドの環境(社会・市場・顧客)を引数として自身の行動を決めるかという、関数である。
本書によると、意思決定のプロセスは以下のように要約できる。
- 目的を明確にする
- 目的を実現にするための目標を定める(複数設定する必要がある場合がほとんど)
- 目標を実現するための手順案を複数列挙する
- 案を吟味する(コスト、リスク、効果)
これらのステップで、どんな目標を定めるか、実現手順案の中でどれを選ぶか、これらを最適に決めるのが意思決定プロセスなのである。情報と思考力によって意思決定を行うのだが、本書は情報が思考力よりも重要と主張している。
集めた情報を分析するための思考方法には以下の手法がある。
- グルーピングする
- 比較する
- 因果関係をみる
さて、こうやってまとめてみると、意思決定とは大して難しいことではないように思える。実は、本書の中ではさらりとしか書いていないのだが、意思決定において非常に難し部分が2つあるのだ。
一つ目は、意思決定に欠かせない情報をどうすれば集めることができるのだろうか?カラーバス効果*1を思い浮かべれば分かるとおり、普段どういう問題意識(本書では関心事)を持って情報と接するかが鍵を握る。問題意識のないままグーグルで調べても本当の意味での情報は集まらない。では、どうすれば質の高い問題意識を持つことが出来るのであろうか? 本書では現場に足を運べと書いてあるが、実際のところ答がないのが本当のところであろう*2。
二つ目は、本書を読んで私が一番ずっこけた部分であるが*3。
「正確な意思決定とは、十分な情報に基づいた合理的な試行の結果である」ということです。しかし、この要約にはまだお話していなかった大事な前提が抜けています。それは意思決定者の「意思」の存在です。(中略)成功する意思決定には、意思決定者の「明確な意思」が不可欠の要素です。
つまり、なぜその目的を選ぶのか、その部分は個人の資質(インサイドの欲求)にかかわってくるので、マニュアル化できないのである。良いインサイドの欲求をどうすれば見つけられるのであろうか?
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