「外国語を身に付けるための日本語レッスン」は、単語や文法の力ではなく、もっと根もとの文化に根差す外国語と日本語の違いについて書かれた本である。
英語でなく外国語と大きく対象を広げているが、スペイン語は含まれているのかなど、気になる点はある。また、文化の領域に踏み込んでいるため、例え英語に限定しても、イギリスとシンガポールはずいぶん違うと推測されるので、この本の内容がどこの国で成り立つのかには注意が必要である。
しかしながら、筆者が言わんとすることを汲み取ることは有用である。
筆者の主張は、
- コミュニケーションにおいて、日本人は曖昧である。
- 質問するときに、何を聞きたいのか分からずに質問する場合が多い。(例えば、2ch的な「これってどうよ?」という質問は、質問者自身何を期待して質問しているのか分かっていないであろう)
- 質問に答える際、根拠を具体的に示さない。例えば、あの映画はスキか?と聞かれ好きと答えた時、好きな理由を示せない。
一方、(筆者の言う)外国人は、このような曖昧さに慣れていないため、言語の問題ではなく、コミュニケーションの際の心構えの問題で、日本人の話す外国語は通じないという。
また、続編とも言うべき「外国語で発想するための日本語レッスン」では、曖昧な考え方を直すトレーニングとして、Critical Readingを勧め、そのやり方を説明している。
これらの本を読んで、かつてボストン市内に住むイギリス人に「なぜ市内に住むのか?」と聞いたとき、"easy to go school, easy to go shopping, easy to go theater"と答えをもらい、すごく具体的に答えるもんだなっと感じたことを、思い出した。
個人的には、日本語が曖昧なわけでなく、曖昧な人が日本に多いということだと思う。
- 作者: 三森ゆりか
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2003/09/01
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 42回
- この商品を含むブログ (28件) を見る
- 作者: 三森ゆりか
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2006/05
- メディア: 単行本
- 購入: 4人 クリック: 38回
- この商品を含むブログ (15件) を見る