宮台信司の「日本の難点」を読んだがその内容がよく理解できないため、宮台信司の著作をいくつか漁っている。その一環で「サイファ覚醒せよ」を読んだ。
http://d.hatena.ne.jp/kota2009/20090830/1251591556
私は、この本を読まないことをお勧めする。理由は、文章が練れていないためである。
そこで私たちは、拙速を恐れず、「書き下ろし」を決意した。
まえがきに、このようにある通り、「書き下ろ」されていて、読みづらい。酒場での著者二人の雑談を横で聞いているような印象である。
例えば、
ネットは実社会の流れとは異なる、もうひとつのクロック、時系列なんです。
のように、「クロック」を「時系列」と*書き*換えることに何の意味があるのか分からない(それ以前に、ネット=時系列なのか?と突っ込みそうになるが)。
別の例を挙げれば
宗教を「前提を欠いた偶発性を馴致する装置」、分かりやすくかみ砕けば「端的なものを、無害なものとして受け入れ可能にする仕組み」であると定義しました。すなわち、宗教とは、例えば近代科学を徹底的に押し詰めることであらわになるような「世界の根源的な未規定性」を、いわばバーチャルに覆い隠すために、無害なものへと加工する社会的メカニズムです。
ここも、「わかりやすくかみ砕」いた定義を、「すなわち」でさらに説明しています。裏には「わかりやすくかみ砕」けていない印象が著者にもあると推測します。「バーチャル」なんて言葉も必要なく、この手の不要な修飾詞が多くて読みづらい。
内容は良いことを書いてあるのだが、「書き下ろし」というエクスキューズの通り、文章が練れていなくて読みづらい本である。
- 作者: 宮台真司,速水由紀子,ホンマタカシ
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2000/10
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 36回
- この商品を含むブログ (30件) を見る