kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



ミラーレス騒動

 日経エレクトロニクス(2012.2.20)にミラーレス特集が掲載されている。「ミラーレス機の現状」で述べたように、各カメラメーカのミラーレス機への傾倒ぶりには過熱感さえ感じる。そんな中、このミラーレス騒動に対して苦言を湯浅氏(リコーの元カメラ事業責任者で、リコーのカメラ事業を立て直した偉人)が呈している。

ミラーレス騒動から抜け出そう

 ミラーレス機の市場拡大は「騒動」に終わるのではないか。そんな懸念を抱いている。開発者の意図が読み取れない製品が少なくないからだ。小型・軽量という特徴がウケてミラーレス機が売れている。だから、とにかく小さくて軽いものを開発しよう。そういうノリで製品を開発しているように見える。
 例えば、「本体が小さいのに、レンズは大きい製品」、首にぶら下げるとレンズが下を向いてしまうのはいかがなものだろう。「撮像素子が小さいのにレンズ交換式」。それなら普通のコンパクト機で十分ではないか。志が低い。
 ミラーレス機の魅力の一つは、大型の撮像素子を使いながら、携帯性にすぐれることだろう。その上で、一眼レフ気に匹敵する画質を実現する。こうしたコンセプトが見えないままでは、コンパクト機と同じように価格競争が激しくなるだけだ。
 もちろん、レンズを交換しないと撮れない被写体があることは確か。だが、それは「いい写真」の撮影にレンズ交換式カメラが必須ということを意味しない。今、ミラーレス機を買っているユーザーは、必要以上の機能や拡張性を備えた中途半端な製品を選ばされていないか。今のままでは、メーカーは自分で自分の首を絞めることになりかねない。

(日経エレクトロニクス(2012.2.20) p35)


この湯浅氏の発言の意図は、以下と読み比べれば分かりやすいと思う。

  多くの会社は「次の大きなこと」に目を向けている。人気が急上昇しているもの、新しいものに金をつぎ込み、最新のトレンドや技術に飛びつくのだ。
 それは愚かな戦略だ。ものそのものではなく、流行という常に変わり続けるものだけに焦点を絞ることになる。
 ビジネスを立ち上げるなら、その核は変わらないものであるべきだ。人々が今日欲しいと思う、そして10年後も欲しいと思うもの。そうしたものにこそ力を投入すべきだ。
 アマゾン・ドットコムは、迅速な(無料の)配送、選び抜かれた品々、安心の返品の仕組み、そして手頃な価格に焦点をおいている。こうしたものにはいつも高い需要がある。
(中略)
流行は去りゆく、という事実を忘れないでほしい。変わらない機能に焦点を当てれば、時代遅れなんて言葉はまったく関係がなくなるはずだ。

(「小さなチーム、大きな仕事」(早川書房))


 つまり、湯浅氏は「ミラーレス機」=「流行・最新のトレンド」、「変わらない機能」=「携帯性に優れ、かつ画質は一眼レフに匹敵すること」と言っているのだ。

 私もエンジニアですが、耳が痛いです。