エルピーダが会社更生手続を正式発表 - 負債額は4,480億円(マイナビニュース)
wikipedia:エルビーダメモリは、DRAMの専業メーカであり、もともとは三菱電機・日立製作所・NECの三社のDRAM部門が合併した会社である。当時は「スピンオフ」という言葉が流行りで、親企業から一部門が独立することで迅速な経営判断による強い企業ができるという、理屈であった(蛇足であるが、この「スピンオフ」の前は「シナジー」という言葉が流行りで、会社の合併(M&A)により異なるドメインの事業が相互作用を起こすという理屈であった。要するに 1+1>2 と考えたのが「シナジー」で、 2-1>1 と考えるのが「スピンオフ」である。)。
もともとDRAMやフラッシュメモリの製造は、製造装置を購入すれば技術的難易度はそれほど高くない(「技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか」)。一方、たくさん製造すればコストが低くなるという構造から、DRAM各社は大規模投資で製造装置を揃えて、大量生産を目指すため、価格下落を加速する。シリコンサイクルという言葉があり、半導体製品の価格は一定周期で上下している。このシリコンサイクルの本質は、設備装置への先行投資(減価償却期間の長さ)と需要変動の大きさにある。
要するにDRAMやフラッシュメモリのビジネスは、このシリコンサイクルに耐える会社の規模と国の制度設計を必要とする。3年前に国がエルピーダメモリに国が注入した資金は300億円であるが、その程度の金額ではDRAM事業はやっていけないのである。桁が一つ足りない。
技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか―画期的な新製品が惨敗する理由
- 作者: 妹尾堅一郎
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