ニコン D600発表、そして個人的な感想

　ニコンがD600を発表しました（9月27日発売）。D600は、売れに売れたD800の廉価版という位置づけだと発表前には噂れていました。一方で、ニコンの場合の”廉価版”という位置づけには期待させるものがありまして、ニコンファンはD600を待ちわびていました。"D3200 下剋上”でgoogle先生に聞くと見つかるとおり、D7000の廉価版のD3200の方が、D7000よりも描写性能が良いのです。普通に考えると、下位機種（廉価版）は、その上位機種よりも性能を落として差別化するのが商品企画の定番ですが、ニコンは、上位機種よりその後に発売される下位機種の方が描写性能が良いということが良くあります（時間的に後に出す方が性能を上げやすいという事情を、素直に製品に反映してくる）。
　では、D600のスペックをD800およびD7000と比較してみます。

	D600	D800	D7000
画素数	2400万画素	3600万画素	1620万画素
撮像素子	35.9×24.0mmサイズ CMOSセンサー	35.9×24.0mmサイズ CMOSセンサー	23.6×15.6 mmサイズ CMOSセンサー
画像処理エンジン	EXPEED 3	EXPEED 3	EXPEED 2
ファインダ	ペンタプリズム	ペンタプリズム	ペンタプリズム
視野率	100%	100%	100%
シャッタースピード	1/4000〜30秒	1/8000〜30秒	1/8000〜30秒
測光方式	2016分割RGB	91KピクセルRGBセンサー	2016分割RGB
AFセンサ	フォーカスポイント39点（うち、クロスタイプセンサー9点、f/5.6超〜f/8未満は中央33点、f/8は中央7点）	フォーカスポイント51点（うち、15点はクロスタイプセンサー、11点はf/8対応）	フォーカスポイント39点（うち、クロスタイプセンサー9点）
液晶モニタ	3.2型低温ポリシリコンTFT液晶約92万ドット（VGA）視野角約170°、視野率約100%	3.2型TFT液晶約92万ドット（VGA）視野角170°、視野率約100%	3型低温ポリシリコンTFT液晶、約92万ドット（VGA）視野角170°、視野率100%、
質量	760g	1000g	780g
ボディ	防塵・防滴	防塵・防滴	防塵・防滴

D600 vs D7000

　D7000はAPS-Cサイズの撮像素子を有するハイアマチュア向けの機種です。D7000を使いこなしている人は、D600が気になると思います。上の表を見ると、D600はシャッター速度が1/4000にスペックダウン、質量はほぼ同等であることがわかります。D7000ユーザがもっと良い描写性能を求めたいとき、フルサイズ機のD600はとても魅力的に見える筈です。シャッター速度が1/8000がなくて良いか迷う人がいるかもしれませんが、この速度でなければ止めて写せないものを撮らない人には無関係の機能です。1/8000って何につかうのでしょう？スポーツなら1/1000でどんなスポーツでも止めて写すことができます("デジタルフォト達人への道")。間近で走るF1を止めたいときは、1/8000を使うのでしょうか？少し私には分からない世界です。
　まとめますと、D7000ユーザがより高い描写性能を求めるとき、D600はかなり有力な選択肢だと思います。

D600 vs D800

　D800は売れに売れたニコンのフルサイズ機です。このD800と比較すると、D600の特徴は

画素数がD800よりグッと少ない2400万画素である（そういってもソニーのフルサイズ機のα99と同じ画素数ですが、、）
画像処理エンジンはD800と同じEXPEED3
重さがD800よりもグッと軽くて760gしかない（ソニーα９９は812g）

　こうしてみてみると、D600はフルサイズ機として一般的なスペックであることがわかります。一方で、質量が軽く、お値段も20万円を切る（2012年9月17日価格コム調べ）という低下価格が魅力です。
　また、こうやって比べるとD800ってとんでもないカメラであることが改めて分かりました。そういう意味では、D800が発売されたときに3600万画素というとんでもない画素数にネガティブなこと（多画素過ぎて画質に貢献しない、その一方でPCに負荷をかける）を言っていた人達が、D600の2400万画素をどう評価するかも楽しみです。
　まとめますと、D600は極めてコストパフォーマンスの高いカメラであると言えそうです。